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だますこと。

今年出た新書の中に、「カラスをだます」という塚原直樹氏が書かれたものがある。

カラスをだます (NHK出版新書 646)

カラスをだます (NHK出版新書 646)

  • 作者:塚原 直樹
  • 発売日: 2021/02/10
  • メディア: 新書
 

 著者はヒトとカラスの関係を「別れようと思っても別れられない夫婦」に見立てている。離れようとしても離れられない関係として捉え、カラスの生態について様々に書いている。我が家でも週2回の燃えるゴミの日には、ゴミ袋にカーテンのようなものをかけてカラスが突かないようにしているけれど、もっとちゃんとカラスの生態を把握しておかなければ。そしてカラスはある意味でヒトより優秀でもあるのだから。

「昭和の日」の雑感。

今日は「昭和の日」。2007年からこの名称になったが、永らく4月29日は祝日になっている(当然だが日本以外の国では祝日にはなっていないと思われるが)。「天皇誕生日」だったり「みどりの日」だったり。4月29日は昭和天皇の誕生日であり、昭和の時代を顧みるのが趣旨である。それを言うなら他の時代も顧みる必要があるのではという話になるが(文化の日の11月3日は明治天皇の誕生日が趣旨であるという主張もある)。まあ昭和は60年以上続いたので、顧みる必要性も高いとは思う。何しろ昭和初期の20年は戦争に明け暮れ、昭和20年に敗戦してからは復興をして、高度成長から安定成長を経てバブル経済に至る(ただ当時はバブルと認識している人間は少数派だったが)ので、人により昭和に対する思い入れはかなり異なると思われる。今や昭和時代をよく知らない年代も増えているのも現実。小売業としては祝日が増えるのは歓迎。今年は休業している商業施設も多いけれど。

進化心理学と社会心理学(現代社会心理学特論第13回)

偏見や差別はなくさなければならないけれど、何故発生するのかを見つめることも必要。

 

森津太子。進化心理学と社会心理学。行動経済学や脳神経科学。分野の考え方が与えた影響。進化論と心理学の関係は?普通、進化論で問題になるのは生物の外見的特徴や問題傾向。心理面まで影響が?ダーウインは「種の起源」で心理面も予定していた。遠い将来、遥かに重要で新たな研究分野が。心理学は新たな研究基盤に。少しずつ獲得されたと。人間の起源と歴史についても。ウイリアム・ジェームズも。心理学者が進化論に着目するのは目新しいことではない。進化論の考えを本格的に導入するのは80年頃から。現在まで進化論を基盤とした心理学は著しく発達を。進化心理学。社会心理学にも大きな影響を。人間は社会的な動物。他者と関係して乗り切る。社会心理学と進化心理学の関係。
進化心理学とは。心の働きは進化の産物。現代進化生物学のアプローチを。進化論で。一般に進化論では、あらゆる生命は生活環境に適応して進化。有利な特性を持つ個体は生き残り子孫を残し生き残る。自然選択自然淘汰。自然選択は外見的特徴や行動傾向について。キリンの長い首の例。進化心理学は行動の背景にある心理的背景についても。現代の人間が持つ心理的傾向も。新たな視点をもたらす。至近要因でなく究極要因に。究極要因。進化的意味。進化的適応など。一般的な心理学ではもっと時間的に近い。至近要因。生活習慣病は脂肪を含む食糧。様々なものが。脂肪を好む傾向があると考えたり作り出す生理的メカニズムを。至近要因。脂肪を好むことが生存確率を高める。究極要因という。進化心理学的な考えは、メタ理論として機能する可能性が。社会心理学は社会と密着しているので蓄積性がない。散発的に。研究相互の関連性に乏しい。理論的枠組の不足。社会的認知アプローチ。1種のコンピュータと。一定の成果を。全体をとりまとめる力を。しかし万能ではない。主に個人内。社会を扱うのに不向き。人間行動の原因として情報処理過程に。至近要因を。進化心理学は究極要因という視点を。メタ理論的枠組を提供。社会科学を総合的にまとめる。人間が持つ様々な心理メカニズムについて何故持つに至ったか。HowだけでなくWhyを。これまでは人間の性向に対してどのようにを着目。そもそも自尊感情を維持しようとするのか、適応とどう関係するかを。見過ごされてきた現象を見いだしたり。論理的帰結としてある種のものは生存に有利。既存の知見を総合するだけでなく新たな学問分野を。
環境とは?生物が適応しなければならないのは自然環境。個別の個体が集団生活を営むことで立ち向かう。自然環境というよりも社会環境が進化的課題。霊長類における大脳、新皮質の。社会性に関連している?脳の重さは体重と比例するが、霊長類は脳が大きめ。脳の維持には大きなコストが。消費されるエネルギーが格段に大きい。小さい方が有利なはずなので、コストに見合うメリットが。ダンバー。大脳新皮質の大きさを社会集団との関連で。両者の間には集団の大きさと大脳新皮質の重さは比例。社会脳仮説。霊長類の大脳新皮質が大きくなったのは社会集団のサイズが大きくなったから。社会的生物は集団生活を。協力することで繁殖率を高める。一方で生物には高度な知性が。社会環境では対象も知性を持つから。個体間の関係性に対処を。身近な人々との人間関係。それがあるからこそ生き残ってこられた。知性の発達が見られた。人間の進化の過程を。進化的適応環境としては更新世の時代に。狩猟採集民。150人くらい。プロセスは遅い。更新世の時代の適応。現代の環境には適応的ではない可能性が。
進化心理学的アプローチ。進化的適応や究極要因から。社会心理学の中でも新たな展開を。偏見や差別の問題を進化心理学的視点から。社会心理学の中で長い歴史を。膨大な研究が。これまでの研究はいずれも文化的背景の中でという前提。もっと生存に関係したものとして。自然選択された心のメカニズム。身体的健康を脅かすものとして感染症も。感染症は有史以前から多くの割合を占める。身体には免疫システムがあるが、病原体への接触を避けるメカニズムが。偏見や差別を感染症を回避する心のメカニズム。病原体を持っていそうな人を避ける。しかしその判断は不可能。不確実な場合は危険でないものを危険とする方向に心理の歪みが。その方が生存上に有利。感染症に罹患している少しの手がかりに過敏となり避ける心の働きが。様々な容貌の変化を。平均的ではない容貌に過剰に反応する心の働きが発達。外集団遷移。外部の集団への危険性。所属していないメンバーは見慣れない。病原体を持ってくる恐怖に。全て仮説であり検証が必要。妥当性はある程度は実証されている。障害者や老人、肥満者、外国人。実験中に感染症への恐怖を高めると偏見の度合いが高まる。妊娠初期の女性。一方でリスクを低減すると偏見は高まらない。実験中にお手拭きをするだけで偏見の低下が。正しかったとしても偏見や差別は仕方がないということにはならない。現在にあっては様々な弊害を生む。脂肪の過剰摂取が生活習慣病のリスクを高めるのと同様。何に由来するのかを突き止めコントロールを。罹患するリスクが。感染症予防を徹底すれば良いとする考え方もある。

 

現代社会心理学特論 (放送大学大学院教材)

現代社会心理学特論 (放送大学大学院教材)

  • 作者:森 津太子
  • 出版社/メーカー: 放送大学教育振興会
  • 発売日: 2015/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

痛み。

今はどうなっているか知らないけど、昭和後期の子どもたちが最も怖がっていたのは歯医者さんであった(なぜだか「さん」をつけてしまうのは習慣的なもの)。何しろ歯磨きの習慣が身についていないからよく虫歯になる。だもので歯の検診が毎年小学校で実施され問題があるなら歯医者に行かされる。それで散々に歯を削ったりして痛い。そして歯医者から放免されると歯磨きをよくするようになるが、痛みを忘れると元の木阿弥に。歯磨きの習慣は子供時代の家庭で身に着けないといけない技能である。

休業要請に従うか従わないかの判断。

この日曜日から緊急事態宣言が発出されて百貨店が食料品売場などを除き休業しているのは書いた。ただ百貨店で解釈が分かれ閉鎖されている売り場は違うけれど。そして家電量販店の対応も分かれている模様(そもそも休業要請であり強制力はない)。京都の四条河原町に明日4月29日からオープンする筈だったエディオンは開業を延期している(旧マルイがあり更にその前は阪急百貨店だった場所)。他方で梅田のヨドバシカメラは休業をしていない。その辺りは会社により判断が違う。まあ店舗を開いていた方が消費者には便利で売上が上がるけれど、風評被害の可能性も考えなければならない。まあ自粛疲れが漂い外飲みも増えているのが現実である。ただ大阪では既に医療が崩壊しているので感染者は減らさなければならない。ううみゅ。

各論9・異端の諸思想(日本政治思想史第12回)

大東亜共栄圏は中身が無かったという話だったが、本当かどうかは吟味しないとわからないのではないだろうか?確かに前提として様々な思想が弾圧されたのは事実だけれど。

 

原武史。異端の諸思想。異端というのは正統の対概念。基督教社会を前提に。正統があるからこそ挑戦する異端も生まれてきた。キリスト教の正統。オーソドキシー。世界観を。統治者や統治体型は別の語。O正統とL正統。丸山眞男の。国体は万世一系の天皇を統治の主体と。君民一体の空間を視覚化されるもの。潜在的にはあらゆる思想と両立する可能性を持っていた。異端が無かったことを意味するわけではない。昭和初期にかけて異端として排斥されたり不敬罪に問われた思想は絶えない。「日本の思想」。一度内外の敵となった思想は権力体として作用。近代天皇制のもとではどういった思想が異端に。2つの場合。第一はL正統そのものを否定。L正統は否定しなくてもO正統に。マルクス主義やキリスト教。明治のキリスト教と大正末期のマルクス主義は同じ機能を。あらゆる宗教哲学学問を包容して平和共存させる状況で。世界経験の論理的な。近代日本において明治のキリスト教やマルクス主義。両者とも究極には正反対だが、日本のふうどについては精神史的に同じ。聖書と資本論。世界経験の論理的知的な。まるごと信じることで初めて。この点でどちらも異端としての役割を担う。両者の違い。キリスト教は天皇制を否定しないが。来世を通して現世を相対化することで、天皇は絶対的支配者ではないと。L正統を否定する代わりにO正統を。資本主義体制が必然的に崩壊するとする。この法則を天皇制もまた廃止される。O正統を備えていてL正統そのものを否定。無教会派の内村鑑三。明治24年に第一高等中学校で不敬事件を。日露戦争では非戦論を。愛国主義を否定。しかしキリスト教徒の中には海老名弾正のように神の国の建設のために肯定。既成教団であるプロテスタントやカトリックも神社への礼拝を。無教会派の経済学者の柳原忠雄や明石俊三ら。ものみの塔。アメリカに本部を持つ日本支部。エホバの証人。今のそれは灯台社と全く別。唯一神エホバを。キリスト教の中でも異端とされた。兵役を拒否して剣道の授業にも出ない。昭和に一斉検挙される。皇室とキリスト教は全く関係が無かったわけではない。昭和天皇はEuropa訪問の際にローマ教会にも。カトリックの教理は政体の変更を許さないと教皇が。敗戦後の昭和天皇は国民に宗教心が無かったことを反省している。国家神道は宗教としての資格が無かったことを天皇自身が認めている。カトリック信者にしばしば面会し聖書の講義を定期的に受けていた。昭和天皇実録で明らかに。天皇自身のO正統樹立の模索と考えることも不可能ではない。天皇が改宗することは無かったが、皇室とキリスト教の親和性の高さを。マルクス主義の歩み。ロシア革命後の日本で民本主義に取って代わるように流行。コミンテルンの働きかけで日本共産党が大正11年に設立。26年に再建。翌年からは27年テーゼを採択。君主制の廃止によるブルジョア民主主義から社会主義を。代わって32年テーゼが採択。天皇制という用語を初めて使う。もともとマルクス主義のイデオロギーから。戦後は学術用語として定着。25年には治安維持法の成立。第1条は国体を変革し私有財産制度を否認する者は10年以下の懲役など。日本共産党の弾圧を目的としていた。28年に改正されて最高刑が死刑になる。この年から激しい弾圧が。合法化されたのは戦後になってから。L正統自体を否定するので皇室とは相容れなかった。戦後の天皇も共産党には警戒し革命に怯えていた。
キリスト教やマルクス主義以外の。北一輝と大本教団の出口王仁三郎の思想を。いずれもL正統を否定しなかったがO正統を生まれようと。北一輝。06年に23歳で自費出版した「国体論及び純正社会主義」で鮮烈なデビューを。社会進化論の立場からいわゆる国体論を批判。いかなる国体か。万世一系の天皇に主権があると。解釈にあらず。問答の循環。法律学者のみにあらず。ことごとく白痴となる。万世一系というのはL正統ではあってもそれだけではトートロジー、同義反復に。O正統たり得ない。O正統を持たない国体の弱点を突く。社会進化論に基づき国体も進化したと。明治維新以降は民主国の時代に。主権が国家にあり国家を構成する機関は国民と天皇に。過激な内容を持つ書物はすぐに発売停止になったが、明治社会主義者との交流が始まる。堺利彦や山川均らはマルクス主義に接近したのに対し、北一輝は主権を国民と天皇に還元する立場を維持。日本改造法案大綱を公表。超国家主義の源流を為す。60年安保闘争で活躍して丸山眞男と同じところに住む竹内好。竹内好全集の第8巻の「北一輝」。共産党の綱領はコミンテルンから。北一輝はその頭脳の産物と。出口王仁三郎。明治初期に反国体のレッテルを貼られた出雲派の。元々は上田喜三郎という名前だった。出口なおの娘と結婚して養子となり改名。なおとは異なり平田篤胤など神道全般に精通。第一次大本事件で検挙。「霊界物語」の口述を。81巻の膨大な経典。京都府の綾部や亀岡など全国各地で口述。挫折した復古神道出雲派の後継としてO正統を持たないO正統を。スサノヲの支配権。宇宙に。水も御霊の狼。アマテラス。ツクヨミ。復古神道出雲派と比べてスサノヲの支配権が拡張。アマテラスや天皇に対するスサノヲの優位が。第69巻。愛媛県の松山で。後の昭和天皇が狙撃される虎ノ門事件と同時期。男女の神が国の後継者をめぐり対話。継ぐべき男性が居なくなり女性を。賛成する者と反対する者と。前代未聞?断絶する。女を世継ぎとしておけば腹から腹へと。第二の夫をこしらえていた場合はどの子か分からぬ。三五教。大本自身を指す。最もプライベートな視点から男系男子が原則の万世一系を疑問視。虎ノ門事件の直後から不穏な噂が全国に広がる。王仁三郎は噂を意識していた可能性が。松山という場所も関係。注意深く読むと霊界物語は出口なおの筆先を基にしたものに比べ不敬に満ちる。35年には治安維持法違反と不敬罪の容疑で一斉に検挙。大正10年は第一次大本事件。昭和10年は第二次大本事件。この方が更に大掛かりな。綾部と亀岡の本拠の神殿がダイナマイトで決定的に破壊。宗教教団はキリスト教や大本だけでなく、仏教系も弾圧に。戸田城聖。30年に創価教育学会という団体を設立。現在の創価学会。日蓮正宗から神道を批判。43年7月に大本と同様、治安維持法違反と不敬罪に問われ幹部が逮捕。牧口は獄死したが、戸田城聖は戦後に創価学会と。勢いを爆発的に拡大。池田大作が人間革命という長編小説で描いている。昭和36年には衆議院への進出を目指し公明政治連盟を。現在の公明党。太平洋戦争では、大東亜共栄圏の建設が目的と。竹内好は「日本のアジア主義」の中で、大東亜共栄圏は一切の思想を圧殺した疑似思想。何者も生み出さない。一切の思想を圧殺するために網をかぶせただけ。無内容なものだった。自由主義や右翼も弾圧。アジア主義的思想を弾圧して。O正統となりうる全ての思想が弾圧。40年には地域の最小単位として隣組が整備。国民奉祝の時間などは回覧板により周知。末端における住民同士の自発的相互監視が。言説化されないが故の時間支配が大東亜共栄圏全体に浸透していった。この積み重ねが、年中行事化する。8月15日の正午からの玉音放送。巨大な影響力を及ぼす。戦争行為を止めることになる。

 

日本政治思想史 (放送大学教材)

日本政治思想史 (放送大学教材)

  • 作者:原 武史
  • 出版社/メーカー: 放送大学教育振興会
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

苦しみ。

昨年の今頃もコロナ禍ではあった。しかし1年も続くと予想している人間は少なかったのではないか。人々のマスク姿もすっかり定着している。ところがマスクをずっとしていると違和感を抱くことが時々ある。昨夏は外でマスクを着用していると蒸れてしまっったのを思い出す(そして今年の夏もそうなるだろう)。後はマスクをしていると苦しさを感じるというような感覚過敏な人も一定数は居る模様である。しかしながら、小売業をしている以上はマスクの着用を求めざるを得ない。マスクをしていない人間が店をうろつかないようにして欲しいというお客様の意向を考えなければならないから。