研究の手法の問題だけど、現実の家族の問題、自分の家族や知人の家族について、の問題でもある。立ち位置が難しいけれど。
今日、介護や虐待など家族問題、質的研究法。その位置づけや特色、課題や意義。
社会学の関心は社会現象社会問題の成り立ちを明らかに。可能な限り明確な質問や結論。証拠となるデータを収集する。社会調査法の種類、量的研究法。数値データと統計による。質的研究法。言葉による分析。あまり定型化されない手順でデータを集める。量的研究法。調査票調査、アンケートによる。仮説に基づき質問を作る。データで演繹。質的研究法ではデータの収集は一様ではない。性別役割分担意識について仮説を作り、統計分析をする。質的研究法は、データの検討を通じて、理論を作る帰納的方法が多い。インタビュー。認知症の患者の家族について。今後について知ることが出来る。他の家族にもインタビューすることで、共通の経験やその背景を把握しうる。家族の経験から理論が生み出される。2つの方法の諸特徴はあくまで目安なので注意。対象となる集団の傾向を数値で読み取るのが量的研究法。
質的研究法の概説。インタビュー法、聞き取り。調査にあたって何を聞くか事前に設定するのを構造化インタビュー。語られる事柄から何かを発見する、事前に質問群を用意しないことも。観察。研究対象となるものを観察、その相互作用や社会背景を解明。完全な観察者としては多くない。人間関係に全く関わりのない形で。記述把握したいフィールドに赴く形が多い、参与観察。精神科病院の患者について。ドキュメント分析。記録。人々が何らかの形で残した記録を分析する。具体的な個人や集団などではなく、人間が作った記録を対象とする。素材は様々。様々な領域で質的研究法が。現代社会は急速に変化。日々経験する社会経験は当たり前のものとは言えないことが少なくない。新しいのでどのような現象なのか、データを集めて分析し、理論を生み出さなければならない。帰納的な方法が適する。
家族研究における質的研究法。家族問題研究。家族問題の捉え方。近年変化してきている、質的研究法がメインになっているのと関係がある。問題の原因。2つの捉え方。前者から後者への変化。前者は、家族の理想形が崩れつつあると認識。逸脱した家族の在り方から家族問題が。家族病理学。あるべきとされた家族、近代家族。家族関係の基盤は愛情関係。子供。性別役割分業。本来あるべき姿からのズレ。日本では戦後から70年代まで、家族問題は近代家族からずれている家族について生じやすかった。構造機能主義の採用。近代家族を理想家族として位置づける。理想の家族、近代家族に問題はないという前提。ズレているという見方に留まっていた。後者。今日採用されやすい。従来支配的だった家族のズレ。自発的にシングルにとどまる人が多い。女性の社会的進出。固定的な性別役割分業を超えた夫婦の在り方が。結婚は異性間で、という前提も崩れている。個人の選択が。家族の多様化現象。家族危機とイコールとしない。仕事をしている女性の育児でのストレス。前者の視点からは、育児は女性の役割ということになり、仕事のせいで子育て役割が出来ない女性に問題が。女性は我慢が足りないという議論になる。後者の視点。母も仕事をする時代。過重な子育て役割を女性に負わせるべきではない。社会的子育てサポートの重要性。男性も子育て役割を。今日の行政施策は後者の視点である。福祉の問題。様々な実践的手法は質的研究法と重なる。今日の家族問題研究は、現在、家族を巡って未知の状況が。ステップファミリー。血縁関係にない親子関係や兄弟関係を含む。子連れを前提とする婚姻。アメリカ社会では出現しやすく、普通に起こりうる関係として認識されている。日本社会の場合、ステップファミリーの研究は始まったばかり。アメリカにおける研究蓄積は考慮するとしても、日本の事情を把握する必要。一定の家族の在り方を理想像としない。人々がどのように家族を営んでいるかを調べる。相互作用を通じて家族はどのように立ち現れるのか?データの集積と検討を通じての質的研究法が有効。
家族問題への接近方法。質的研究法は具体的にどのように用いるか?インタビュー法を取り上げる。あるインタビュー法の逐語録。小さい頃の話から。血友病なのは知っていたと思う。親の対応から。血友病であるという自分という記憶しかない。血友病患者のインタビュー、薬害エイズ問題。相手に語りかけてもらう形。個人の人生史。一問一答の構造化されたインタビューではない。語り手が人生の物語を語る。現代思想全般でナラティブへの関心が高まる。医療や福祉の実践にも影響。狭義の患者から広義の患者へ。病の語り。
クラインマン、病の語り。医学医療の発達、公衆衛生の改善。疾病構造の変化を指摘。固有の生活や人生を持つ患者。慢性疾患、病を抱えながら生きている。生活や人生の関係から把握する。病気や障害があるという経験、医学的枠組だけでは説明しえない。病は文化的意味を持つ。病のカテゴリーは文化的重要性を持つ。スティグマ。社会学の概念として、「スティグマの社会学」。他者によって否定的に捉えられるもの。ハンセン病、AIDS。病の体験は社会的排除の眼差しに。病の体験は個人的意味に基づく。人生との相互関係。個人個人は多様な人生経験を。病の体験も個々独立。
一般に親密とされる関係の内、曖昧な喪失。家族システムにおいて存在不在に関する曖昧性。家族境界の曖昧性。身体的に不在だが、心理的に存在することからの喪失。自然災害時における行方不明。身体的には存在しているが、心理的に不在。認知症、脳挫傷。認知症を巡る議論。家族が認知症になった場合。患う家族は以前出来たことができなくなり、過去の記憶を失い、人格も変わる。愛する人は目の前に居るが、もう家族ではない。多大なストレスを経験する。親密な関係を持つ人のナラティブに耳を傾ける。医療関係者は家族の喪失の物語を聴くべき。苦悩の理解を。
インタビューにおいてどのような点に留意するべきか。事前の充分な説明と同意。相手の意向に沿ってインタビューを設定。自由に中止出来ると告げることも必要。調査者と対象者のラポール、信頼関係の形成。調査者が対象となる個人の人生に立ち入ることになるので、人生を変えることもあり得る。個人のプライバシーを知る立場に。福祉医療サービスを現に受けている人。社会的不利益を被る人が対象であることも少なくない。調査が与える影響につき配慮も必要。ナラティブ生成質問。「これまでのご経験について」。場合によってはトピックを限定したり具体的に聞いたり。「初めて入院されたことは」。比較的緩やかにインタビューを進める。対象者は一定の疾患を患っていて、苦痛を抱えていることが多い。抵抗感がある。病の体験は予め言語化されている訳ではない。語り始める瞬間を待つことも重要。人生の尊重を。誰かと会話している時、先取りして解釈してしまう場合がある。インタビューに。聞き手による先取り、一定の理論の枠組で解釈してしまうということ。教えてもらう立場に立つ。無知の姿勢。そもそもセラピストに必要とされる資質。純粋な好奇心のスタンス。知識や理論といったもので解釈するのではなく、教えてもらうこと。防御したり説得したりするのではなく、何も知らないというのではない。ある程度の情報や知識が必要。病気についての基本的知識や制度サービスについて知ることも必要。既に語られたことを把握することも必要。
家族問題に接近する方法。家族の個人化や多様化を問題とするのではなく、個々人の相互作用から問題を理解していく。留意すべき点も少なくない。