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刑事裁判にエイリアンがやってきた(現代訴訟法第13回)

裁判員には誰でもなる可能性がある。その場に居なかった人間が犯罪行為を認定するのだから、プレッシャーがあるのは当たり前。なるならきちんと審議に参加しなければと思う。

 

裁判員裁判、検察審査会。刑事裁判改革の概要。専門家によって動いてきた形に、裁判員や被害者が。実務と問題点。
最近の刑事裁判改革の概要。国民の司法参加。特に刑事裁判において。お手本はイギリス・アメリカという英米法で陪審制が。起訴するかどうかは大陪審。公判では小陪審。人数による。国民が司法判断に直接関わるのは大陸法にも。ドイツでは名誉職裁判官。フランスでも重罪については陪審で判断。社会法では階層に属する一般市民が。日本では起訴独占主義。判断も職業裁判官が。検察審査会はあったが。刑事裁判において、戦前は陪審制があった。陪審法自体は執行停止に。矢口洪一が熱心な陪審主張だった。大陸法の参審制の導入。被害者の刑事裁判への参加。受刑者の社会復帰への動き。デジタル革命は進行中。
検察審査会精度。検察官が不起訴処分した事件について。指定弁護士を検察官役にする。証拠が不充分な場合と、起訴に値しない場合。手続が不透明?被疑者の弁明権も無いなどの問題。
裁判員制度。重罪とされる事件につき6人の裁判員が有罪無罪の判断や量刑の判断をする。極めて困難な仕事。検察や弁護、裁判員も。刑事訴訟の審議に立ち会うという負担の低減が必要だが、適正と迅速とがぶつかる。PTSDの症状を訴える裁判員も。買収をされる可能性がある。職業的リスクを引き受けるという面がある。辞退の可能性を認めた。区分審議制度。暴力団関係の事件では職業裁判官が判断する、ということも。量刑の判断が変わることは想定される。市民感覚といっても好きに判断すれば良い訳ではない。全くのフリーハンドという訳ではない。異なる判断が許されるのはどのような場合か?我が国の刑法は、一つの構成要件に様々な事件が含まれるので、様々な量刑が言い渡される。裁判例の集積により一定の量刑傾向が示される。量刑要素が客観的に理解され、公平であることが求められる。プロセスが適切であるという要素。裁判員制度は量刑に関しても先例の集積結果に変化があり得ることは想定されている。他の裁判との結果につき公平な結果であることは求められる。当該事案に相応しい結論を導くことが求められる。量刑データベース。
全体としては予想外に順調に運用されている。候補者の辞退は増えているが、裁判員が選任できないという事態は全く起こっていない。厳罰化になっているのでは、という危惧があるが。性犯罪、児童虐待。量刑判断が低すぎた?市民感覚が適正に反映されている。性犯罪については法改正も進められている。甘かった、というのが全般の評価。裁判官も男性世界だったので、量刑が低い傾向があった。一人の被告人につき、裁判員の対象事件や非対象事件をまとめて手続きするのと、分けて審議するのと。裁判員の負担と手続の迅速性による。審議期間を短くする工夫があるが、長期化の傾向。実態は公判前整理手続が長期化が主因。主に人為的要素。証拠開示制度。検察庁での人的余裕がなくて開示が遅れる。裁判員裁判を何時開くか?裁判所のスケジュールが過密。数ヶ月先でないと空かない。長期化するのはいろんなところで弊害が。証拠がショッキングなことも。イラストなどで代用。裁判官だけでの場合は、遺体や悲惨な犯罪の現場などがストレートに。総じて血まみれの御遺体などをそのまま出すことは殆どなくなった。イラストにしたり白黒写真にしたり。実際の悲惨さが伝わらない?概ね抑制的だが。法律家が大丈夫でも、裁判員はPTSDなどになる可能性が。証拠の見せ方。検察官側がシュミレーションやアニメーションで示してしまうと、作った事実によって裁判が組み立てられてしまうという危惧。09年から運用。当初は検察側も弁護側もプレゼンテーションを使っていたが、証拠に基づかないものではという指摘があり、アニメーションを使っての立証は殆ど無くなっている。民事における調停委員。特定の候補者を予め選ぶ、という手法は使えない?その都度裁判員が選ばれる、というのが肝。職業裁判官は有罪慣れがあるのでは?裁判員の人が有罪慣れしてしまうリスクも。死刑判決を裁判員が下す、というのはかなりの重圧。死刑という刑罰を日本で続けるか、という重いケース。団藤重光。死刑廃止なくして裁判員裁判はない。国民により国民の命を奪うことは避けるべき。裁判員の重圧は過酷。反面、公判の市民感覚の問題もある。死刑の量刑については全会一致でしか決めない?刑の執行の場面については負担は極めて重い。予断を持たせることもデメリット。死刑の重み。人間が人間を裁く中で、命を奪って良いのか?死刑を求刑するのか釈明をさせるのも一つ。上訴審では職業裁判官のみが判決を。司法統計年報。裁判員裁判制度と上訴の関係。市民感覚を刑事裁判に反映。職業裁判官だけで結論を覆すことが出来るのか?突拍子もない判断がなされる訳ではない。適切なのかを事後的に審査する。高裁の審議の意味。
被害者の刑事裁判への参加。国家の刑罰権のプロセス。被害者と加害者の関係は民事訴訟の問題とされた。フランスでは付帯起訴制度。日本にも戦前はあったが。被害者は忘れられた存在だった。70年代の三菱重工ビル爆破事件。被害者参加制度と損害賠償。現在の訴訟運営の中では、被害者が濃密に参加するのは良いことなのか?被害者参加。事実認定以外の部分というのが刑訴法の基本的な考え方。現実は限っていない。責任能力を争う場合などで参加すると弊害があるのではないか。量刑判断のみの参加が良い?損害賠償命令。和解の方が支払いに効果があるかもしれないが。
現状は不出頭の増加が問題視されている。調停委員のようなシステムを導入できないか?

 

現代訴訟法―液状化する司法 (放送大学大学院教材)

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