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心理療法とコンステレーション(臨床心理面接特論(2)第9回)

全体を見て位置づけをしていくことが、現実の世界を生きるのには大切なのかもしれない。

 

コンステレーション。星座のことを言う。夜空にオリオンを見たりする。星々を地球から見上げて同一平面上にあるかのように、意味在るものとしてみなす。色んな出来事が生じているが、あたかも一連の意味をもっているものに見えることがある。
日常生活でのコンステレーション。山中康裕。元々は精神科医。京都大学の教育学部で臨床心理を。久しぶりに精神医学の学会に。発表ケース。混血児がいずれの国にも受け入れられ難いと感じたとき、我を失うというケース。国境でアイデンティティを失い、2本のレールの中間で自我を喪失しそうになった。自分自身と相似形。精神科医と心理療法家の2つのアイデンティティに揺れる。茶室。心理療法の器。どこか類似している。非常に限定されている非日常な空間である点で。ちょうどTVを見ていると、鈴木大拙氏が。1870年生まれ。ずっと以前に亡くなっている。沢山の禅に関する論文を書くだけでなく、欧米の思想界に初めて禅を。「禅と精神分析」。ユングやノイマンとも交流が。英語のリバティと日本の自由は違う。精神分析家に影響を。自ずから在るということ。ユング派の人から心理療法の教育を受けたが、日本的なもので説明したい。日本の哲学者として熱心に説明。心理療法を日本人として説明したいという。コンステレーション。様々なコンステレーションが日常生活の中にある。
心理療法とコンステレーション。河合隼雄。布置、と訳す。夢や描画のイメージ。箱庭療法や遊戯療法、夢においても。コンステレーションに気づくことは少なくない。箱庭での物語で子どもの内面の物語を聴くことは珍しくない。箱庭における戦いと心の中の葛藤。コンステレーションに心開かれていることが必要。あたかも星座を見るように意味のある一連のものに。京都大学の最終講義もコンステレーションだった。取り上げた事例を元に。戦後間もなくの時代の事例。男子学生が深刻な様子で、易を信じられますかと聞いた。在日韓国人で帰れると喜んでいたら、易の本を読んで、高みに上って落ちる、と書かれてあった。飛行機が墜落すると思い怖くなった。何かがコンステレーションしていると考えた。話されることを一生懸命聴く。戦時中。辛い目にあった。一度祖国に帰りたいと思い、素晴らしいものが色々在る。話す内にあまり甘えると親族を困らせるのではないかと。南北の戦争で自分の思うのと違うかもしれない。内談して話してみて、甘えすぎないよう気をつけたいと思いますなど、具体的に話すようになり、恐怖が去った。易の、高みに上って落ちる。祖国を高く見ていたのでは失望したりしたのかもしれない。コンステレートしていたのは。祖国の理想化は支えだったけれど、現実と乖離する危険があった。地についた味方が出来て恐怖が去った。足を地面につけて歩けるように。帰国後は報告にも。飛びつくのではなく、コンステレーションは聞いていると見えてくる。易が当たるか当たらないかということではなく、不安にかられたクライアントにとりどういう意味があるか?心理療法過程で不思議なことが起こることがある。内面と照合するような外界のことが生じることがある。心理療法における河合隼雄の論文。心理学的に受け取られるのが重要。心理療法の器。外的な枠組みが器として大事。起こっていることは全て心理学的に受け取られることが守り。心理療法が始まって良い関係が出来、自閉的な子供が風邪をひいたりする。外に自分を開き始めたことと不思議に照応している。治療的に扱うことができる。心理療法が始まってしばらくすると友達と喧嘩をしたりすることも。悪くなったのではなく自発的な力が出てきたことと対応して受け取ることが出来る。外界で生じる事柄も、内界でのことと対応して心理学的に受け取られる事が重要。共通するコンステレーションが認められる。フロイトが因果論的に理解しようとしたのに対し、ユングは未来志向として受け入れようとした。目的論的に受け取るとは?家族面接で万引きをした高校生という架空の事例。中年の夫人が、子供が万引きをしたという事例が。因果論的に何が原因か、ではなく、どんな意味があるか、と考える。人は原因を究明したがる。色々あって考えられる。因果論的思考をする、原因探し、たいていは悪者探しにする。協力が得られない。過去を問題とするので、これからは何も見えてこない。分かりやすく問題が理解できたかに見えるが、原因が正しくても役に立たないことが多い。河合隼雄の意見。悪者が分かってもどうにもならない。因果律。点と点を結ぶ直線。人間存在はそんな単純なものではない。単純化した因果律でみるのではなく、曖昧さに耐えて問題提起として意味を持つものとしてみる。心理療法家にとって意味がある。図式化するのではなく、全体を捉え意味が何なのかを探る。コンステレーションを見る。星々を見て星座を。笠原嘉。星座的布置論、コンステレーションが有効。高校生の万引き。どういう意味を持つのか?母親と一緒に考える。僕の方を見て、というメッセージ?父親に愛人が居て母親も家庭から離れている。父親の関心を家庭に惹き付けようとする。母親にカウンセリングをさせる力を。高校生の躓きにも意味がある。父も母も無関係ではない。未来、どうすれば良いかが少し見えてくる。動き出すことが出来る。次回には父親と来所される。家族全体の状況を考えるとストンと腑に落ちる。衝撃的だった。本当の自分を見て、という意味もあったと父親が発言する。要求レベルが高くて認めることがなかったと反省される。高校生だけではなく、母親自身も長く持っていた心の叫び。夫に対して。一代で財を成した父親の心の叫びでもあった。来談した父親にも腑に落ちる。家族の中にコンステレーションがあったから。父親自身の妻への心の叫び。意味を読もう、コンステレーションを読もうとしたとき、問題は息子のことではなく、未来へ繋がる意味を持つ。星座が浮かび上がるように。家族の全体的な状況に意味づける。意味を確定させるのではなく、コンステレーションを読むのが治療的な行為。当の高校生の動機は違うのかもしれないが。自分がただ軽蔑されているのではないことを感じることで、動くのもあるのではないか。現象を全体としてのコンステレーションとして捉える。否定的な症状のなかに意味を見出すことと。
原型とコンステレーション。共時性。シンクロニシティ。ユング。ある意味在る出来事が同時に時間的に生じる。意味のある一致。因果律では考えられないことだが、意味のある偶然の一致が生じる。ユングの事例。ある患者はデカルト哲学にドップリ浸かった知的な人で治療が進まなかった。コガネムシの夢を見ていたと話していた時に、虫が窓にぶつかってきて、開けるとコガネムシが。シンクロニシティ。黄金虫。エジプトでは太陽と結び付けられる。再生の象徴。硬い殻が破れて再生がなされたと意味づけられる。

 

臨床心理面接特論〈2〉心理療法の世界 (放送大学大学院教材)

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