" I am God's child " という奇怪にも傲慢にも思える、人により様々な間隔を持つ文章で始まるのは鬼束ちひろの「月光」。彼女のデビュー曲であり、この言葉の衝撃で知ることになった人間は多いと思われる。他の多くの曲と同様に殆どピアノの伴奏のみで歌われ、このことが彼女の歌声が圧倒的であるのを引き立てている。これほど恋愛状態にある人間の苦しみを語った歌詞は早々あるものではないと思う。他の彼女の曲もピアノ主体だが飽きることがないものが揃う。個人的には2枚目のアルバムに収録されている「茨の海」を推す。題名に出身高校の名称の一部が使われているのともしかしたらシンクロしているのかもしれない。
