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脳神経科学と社会心理学(現代社会心理学特論第12回)

脳科学と称する書籍も、ある程度は疑いながら読んだほうが良いのかもしれない。

 

森津太子。脳神経科学と社会心理学。前回は経済学を。行動経済学という学際領域の。今回は学際的研究が進む脳神経科学を。21世紀に入り脳ブームが。マスメディアを通じて脳科学者が増える。執筆した書籍も数多く。随分と身近に。脳研究に用いられるTechnologyの進歩。脳機能イメージングと呼ばれる脳の機能を。人間の持つ複雑な心の検討を。脳神経科学の参入だけではなく心理学者も。心理学の方法論に貪欲に。心理学の歴史は方法論の歴史。社会的認知Approach、ソフトウェアとしての心の働き。どのように具現化されるか、ハードウェアの分析は出来ない。基本的に脳の働きに迫る研究の進展は喜ばしい。心の高次の。社会神経科学。社会認知神経科学。
手法の解説。大きく3種類。関心のある神経細胞に電極を刺し活動を計測。人間以外の動物で。ミラーニューロン。病気や事故で特定の脳部位の損傷した人を症例研究。ケージという男性の症例。アントニオ・ダマシオによる仮説の土台に。近年の脳機能イメージング。手術などで傷つけること無く計測。fMRI。PETなど。脳波。神経活動の細胞の活動を。電位の記録を。微弱な磁場を。ERTという電位を測定。特定の事象に関連して脳電位を。外部からの刺激だけでなく内因性の変化、心理的な変化も。事象関連電位。事象の発生の後のポジティブな電位。PETやfMRIは血流量の変化で。脳内の神経活動が増えると酸素やブドウ糖の消費が増える。代謝量などを測定して。陽電子を放出する同位体を体内に投与。観察対象に電磁波を照射し画像化。FMRIは薬物投与が必要ない。PETは薬品の注射が必要。空間分解能が高い。手法で脳の活動をどれくらい細かく分析できるか。時間分解能。脳の活動を時間的に細かく分析。より素早い変化を。それぞれの研究での手法は長所短所がある。fMRIは分解能に優れてよく用いられる。社会認知神経科学研究での手法は日々進歩している。
社会心理学のこぼれ話。動物を使った脳の研究では意図的に破壊することがあるが。人間では出来ない。健康な人の脳の活動をPETなどで。脳機能イメージングの手法が開発され飛躍的に進む。稀に脳の機能に損傷を受けた人が。ゲージの症例。20代なかばで鉄道工事の責任者に。1848年の夏、敷設工事中に爆発事故が。頭部を鉄の棒が貫通する。ゲージは一命を取りとめて意識もはっきりしていた。驚異的回復力で回復。知能や言語に問題は無かったが、人格が一変。事故後は無礼な上に優柔不断に。周囲の人はゲージではないと、人格の変化で解雇され、職を転々と。38歳で生涯を閉じる。脳が重要な部分を担う。感情的社会的機能が欠損すると日常生活が送れなくなる。脳部位の問題。遺体が治療の医師の希望で掘り起こされる。ハーバード大学のミュージアムに保存。頭蓋骨を写真で。VPFCという部位。同じところに腫瘍がある患者を。エリオット。感情や社会性の機能に変化が。直感的な判断が出来なくなる。アントニオ・ダマシオはソマティックワーカー仮説を。生存する脳。デカルトの誤り。
社会認知神経科学では。内側前頭前野の脳部位の働き。社会心理学的現象の多くに。対人認知。他者とは架空の人物など。対象が物体であっても一定の意味を知覚すると活性化。アニメーションを参加者に見せる。三角形が親子のような振舞を見せると特徴的な活性化パターンを。対象が人間でも活性化しない場合。ステレオタイプ内容モデル。人柄次元などで説明。両面価値的なもの。自分以外の集団の外集団においてはステレオタイプが付与されやすい。ハリスなど。4種類のパターンの人間。人柄や能力が低い人の写真を見せた場合だけは活性化せず。人として認識されていない可能性。自己に関連する場合。自己関連付け効果の実験。好奇心が強い、知的である、忍耐強いことが自分に当てはまるか。意味判断などをする場合に比べて再生率が高い。自己関連判断を行う場合、他者に当てはまるかを判断したり社会的に好ましい場合に比べ活性化が。態度においても自分の態度を認識したりする能力に寄与する。対象物が望ましいか望ましくないかの評価。MPFCが反応。人物評価が一定していないことも。潜在態度と顕在態度の内。感情と認知で感情に関わる知見を。MPFCは感情とも関わりが深い。特定の感情経験が特異的に関与。PETなどの実験の多くから、どのような種類の感情であってもMPFCは関与。人間の認知過程が自動的過程などの二過程モデル。統制的過程では関与する脳部位が異なる。扁桃体という部位は白人の実験者に黒人をみせた場合。自己報告式の人種差別尺度。当人の自覚的な態度と扁桃体の活動には関連性が見られなかった。知覚された対象が脅威になるか安全か。潜在連合テスト。後に損傷患者に対する研究ではテストに差がなかった。潜在的態度。扁桃体が意識を伴わない結果とは矛盾する。人間が社会的動物である。その事を立証する。アイゼンバーガー。排除されることは致命的。精神的な言葉、痛み、など身体的損傷を。日本語に限らず英語などに多くの。単なる比喩表現でなく身体の痛みと心の痛みには共通の基盤が。ボール投げのコンピューターゲーム。実験参加者は2人とゲームをしていると思うが、実際はコンピュータで反応が。均等にボールが回ってこなくなり、のけものにされた、仲間はずれにされた。その場合の脳の活性化。ACCは身体的痛みと社会的排除での心の痛み。人間が集団生活を営むことで生き抜いた。他者から排除されることは致命的。共通の脳部位を。fMRIを使った研究。脳の引き算が前提。まず脳が何もしていない安静時の脳画像と何らかの活動をする脳画像を。後者から前者を引く。特性の脳部位が活性化。ゼロの状態から生じた訳ではない。言い換えれば明らかになるのは当該の課題をしている時に活性化したことが推定されるのに過ぎない。脳の安静時でも休息を取っていのではなく、機能のアイドリングを。安静時に達成化の度合いが増す。脳内のネットワークが。デフォルト・モード・ネットワーク。社会的認知活動、他者と他者と自分との関係で機能している可能性が。社会的機能をさせるのと社会的でない機能と。何もしていないようにみえるのは、人が自発的に社会的認知を。記憶課題が始まる前や間に感じが良いなどの考えが浮かんでいるかもしれない。社会的課題でないものでは、デフォルト・モード・ネットワークの活動が低下。社会的課題である場合は大きな変化がない。
社会認知神経科学の研究成果。社会心理学への恩恵。様々な事象がどのような脳部位と関係しているか、共通の基盤が。MPFCの関連など。とかく分散しがちな知見を1つに取りまとめるもの。但し手放しの歓迎は危険。本質的に相関研究。ある課題を行う時に特定の脳部位が。その脳部位の働きで現象があるという因果関係を示すものではない。相関関係は誤った手続で高められたに過ぎないと批判する研究者もいる。日進月歩の世界。一度は支持された知見が。実際には脆弱な知見もある。過度の一般化が慎む方が良い。

 

現代社会心理学特論 (放送大学大学院教材)

現代社会心理学特論 (放送大学大学院教材)

  • 作者:森 津太子
  • 出版社/メーカー: 放送大学教育振興会
  • 発売日: 2015/03/01
  • メディア: 単行本