国際政治の世界で、日米関係などの基盤には「法の支配」が存在するということが強調されることが多くなった。対中対立で優勢になるのに資するからだと思われる。ここで「法の支配」は「法律の支配」ではないことが強調されなければならない。「法の支配」のもとでは支配者もそれに服する。そして基本的人権が尊重されることが「法の支配」の内容である。「法律の支配」だと、基本的人権が不当に侵害されるような場合でも法律には従わなければならなくなる。太平洋戦争の前から日本はその状態になり、control出来なくなった政治機構は戦争に走った。今世紀が始まった頃には、中国も日本のように「法の支配」に移行すると考えられていたが、その期待は裏切られている。
