日本は新しい分野を開拓し続ける必要がある。もはや韓国だけでなく世界全体がキャッチアップをしていくのだから。
吉岡英美。新興国企業の台頭と日本企業の台頭。キャッチアップの要因。裏を返せば先進国企業が苦境に。なぜキャッチアップを許したかの問題が。キャッチアップされる側の問題を。試練を乗り越えるためにどのような対応策を?同じ製品市場で価格やコストを引き下げて対抗する。戦略の変更など。技術革新。先進国企業が成し遂げられなければ地位は相対的に低下する。90年代以降、様々な商品でキャッチアップされる。打開策を。代表的な例に半導体産業を。この事例に着目して背景や対応をサムソンと比較しながら。
世界市場でのシェア。半導体市場。90年時点で46%。15年で11%に。特にメモリでキャッチアップされる。特に08年のリーマン・ショック後、生産活動が縮小。90年代以降の日本の半導体企業。大半は90年代後半以降にDRAMから撤退して新たな商品を。産業全体ではLogicを中心に落ち込んでいる。新たな製品開拓に遅れを。結果としてシェアの低下が。半導体産業の問題。
そもそもDRAM分野の対応が遅れたか。製品コストを下げる必要。規模の経済性を。設備投資に消極的に。長期不況の原因など。統合型企業のジレンマ。組織内部の問題。垂直統合型企業が困難な問題を抱える。半導体産業では日本企業が後発で、アメリカに追いつくことを目標にして80年代にキャッチアップに成功。伊丹敬之。当時のアメリカの半導体事業と違い総合電機メーカー。電子機器の優位性を。半導体産業の強化を。半導体部門の継続的な設備投資を。垂直統合という強みが。部門間の調整の問題を抱える。個々の製品の開発はそれぞれの事業部が。設備投資は全社レベルでの調整で思うようにならない。権限が一致しない問題。全社的に右肩上がりなのと異なり、事業環境が厳しくなり調整が難しくなる。半導体事業のトップにInterview。90年代なかば当時に説得しようとしたが時間がかかる。資金も充分でなかった。ある一定の投資がないと意味がないが、本社が納得しない。エネルギーを消費する。総合型事業のジレンマ。設備投資の遅れに。メモリ離れを。DRAM事業は切り離されることに。サムスン電子も複数の事業を。だが半導体が中核の事業に。社内カンパニー制。製品開発と設備投資の双方の責任を。日本と韓国の組織の違いが。設備投資行動だけではなく。組織能力は組織づくり。なぜ問題か。イノベーターのジレンマ。クリステンセンの提唱。ローエンド商品が破壊的イノベーションを。トップ企業が成功体験の足かせになって。製造技術が製品に埋め込まれる。パソコンに交代。DRAM事業では高品質より如何にコストを下げるのかが鍵を。にも関わらずうまく適応できなかった。80年代の成功経験が足かせに。改革に取り組むことが難しく。80年代は汎用コンピューター。供給者が絞り込まれる。野中郁次郎。要因の1つはオーバースペック的な商品開発。90年代にはパソコンが主に。半導体企業の競争力として機能しなかった。品質管理部門が力を持ち転換が難しい。製品コストを下げるには加工条件を見直したり。高い品質のノウハウが蓄積している状態での不安があり慎重になる。必要最小限のDRAMを生産すべきところを、10年以上の持ちの高い品質を追求することに。最高の加工精度を。コストの引き上げに。品質競争からコスト競争になったにもかかわらず。製品コストが高くなり劣勢に。
それに代わる新たな商品の開発は?何故遅れをとったか。90年代後半から柱の育成を。日本企業と相性の良い商品を。1枚のチップに。緊密な連携が。幅広い商品を。デジタル家電部門を持つ。組織的な強みが。システムLSI事業。設計が複雑に。製造には最先端の加工技術が。開発費も膨らむ。回収するのに規模の経済を働かせることが必要。中核的な技術部分にはスペックを共通化する手法を。同じ種類のシステムLSIを。まとまった生産量を確保。開発時には技術情報をデジタル家電部門から入手を。自分の技術情報を伝えると販売を通じてライバル企業に漏れることに。技術情報の保護のために外部への販売を控えて欲しい、でないと最新の技術は出せない。販売先に限界が。需要者が社内に限られ、採算が取れなくなるジレンマに。サムスン電子も統合型企業のジレンマを抱えている?半導体部門では社内に顧客が居ても。常に競争力のある部品を。サムスン電子の幹部は製品は世界的に競争力を持つので、敢えて社内を優先させない。個々の事業の独立採算制を。
新興国企業と先進国企業は競争関係だけではない。協調関係も。日本の半導体材料の企業との協調関係。後発性の利益を得るのに日本の技術や材料を利用。DRAM事業では技術開発を。日本の半導体向けの企業への影響。主な材料企業が韓国向けの直接投資を。韓国に生産拠点や開発拠点を。素材や化学製品。比較的大掛かりな資本集約的事業。日本で生産してもコストはそれほど上がらない。日本でまとめて生産しても不都合はないように見えるが。なぜ韓国での現地生産や現地開発を?韓国国内での需要の拡大。取り込みのために。世界の半導体産業の投資額。00年代初め頃までは韓国は日本の2分の1。10年代では2倍に。巨額の設備投資を続ける。07年から17年まで、毎年サムスン電子がトップに。10年代には毎年1兆円もの設備投資を。韓国国内の需要の拡大を。日本の材料企業は韓国の事業を拡大。複数の日系材料企業の。現地生産の状態を聞き取り。サムスン電子やLGを。現地で生産や開発を。リスクはあるが成長を掴むのが大事。日本ではビジネスに乗り遅れる。カスタマーとして市場が大きくなるという判断。韓国の半導体事業が先行者利益を得るために短縮を。ある日系企業。韓国に開発拠点を。顧客の要求に時間がかかるとクレームが。日本に開発拠点があると何ヶ月かかかる。検証作業やトラブルの解決などをサプライヤーに求める。危機感を抱かせる。製造装置企業にとっても開発段階から緊密な関係を築くにはメリットが。顧客の近くに工場や研究所を。韓国の半導体企業は大口の需要先であり製品開発のパートナーに。他の要因。外資誘致政策。韓国の対日貿易赤字は半導体絡み。誘致活動を積極的に。土地の賃借料が50年間無料になったり。税金の面で圧縮されるのは非情に助かる。別の要因として韓国のライバル企業の存在。円高の時期では価格競争力が落ちるのでその対策としても。韓国企業のキャッチアップも。半導体関連分野では限られた分野に留まっているが。
日系企業はどのように活動を。現地化の実態。生産活動。生産を始めた当時は全て日本から持ち込んでいた。半導体事業の特有の。工場の規模を拡大するたびに現地生産が進む。生産品目によっては現地調達が進んでる。同じ性能の製品であれば価格が安くトラブルの対応も早い。現地調達に取り組むのはコスト削減が生き残りの条件に。引き下げ圧力が。韓国現地での開発活動。特に現地での活動では複数の日系企業で韓国人エンジニアが。強い要望もある。言葉の壁は大きいので韓国語で対応して欲しいと。スピーディーな対応を。韓国人エンジニアの採用には技術情報を顧客からいち早く入手するのに人脈が。先輩後輩が居ると情報が取れる、韓国人でやるのが力になる。韓国社会では学縁や地縁関係が重視され企業社会でも大きな力に。人材の現地化の背景に。今後さらに加速すると中間財や資本財の面でも無視は出来ない。産業の空洞化を避けるには新しい技術や産業を起こすことが不可欠。