管理機関や政策への不信感がリスク認知につながっていると言える。
奈良由美子。食品とリスク。現代社会にあって食品リスクについて。食品リスクを。大きく分けて栄養面での。食品危害因子。環境への負荷。食品危害因子。人間の体に具現化すると食中毒に。食中毒の被害者数と発生要因について。新たな食品リスクに焦点を絞る。国の内外で様々に。様々な事象が。99年のダイオキシン汚染野菜問題。01年にはBSE感染牛。04年には鳥インフルエンザ。07年12月から中国の輸入食品。表示偽造も多発。リスクに対する法的対処。食費安全行政は主に食品衛生法、農薬取締法などで。03年7月には食品安全基本法。リスク管理期間から独立して食品安全委員会が。これとリスク管理期間がそれぞれ独立しながら連携して。それぞれの立場からリスク・コミュニケーションを。
リスクの認識。安全性や危険性についての認識。意識調査。10年9月に。2000。食中毒や遺伝子組み換え食品などの具体的項目の不安の程度。食中毒への不安が最も高い。86.3%。残留農薬。汚染物質化学物質。BSE。鳥インフルエンザ。産地などの偽装。食品添加物。輸入食品。遺伝子組み換え食品。不安の程度の低い項目。健康食品。19%。トクホ。16%。様々なリスク。安全性全般についての不安。53,9%。不安を感じないのは9%。かなり不安度が大きい。
具体的な事例。一般生活者を巻き込んだ。BSE問題。中国冷凍餃子事件。福一の食品の放射能汚染。BSE問題。牛の病気。感染した牛は病原体が脳に蓄積し死に至る。牛の間に。世界28カ国での発生数は15年現在19万頭。英国が殆ど。日本では36頭が確認。食肉などは焼却処分されている。96年3月英国においてヤコブ病が。不治の病。英国では100人以上の患者が。日本では1人。英国滞在時の暴露によるものと考えられている。対処がどうなのか。対応としてEU諸国。96年には英国からの加工品などの輸入を禁止。日本では01年。牛の特定危険部位の焼却を。全頭検査に因る調査を開始。03年には英国産牛の輸入の停止。06年に輸入を再開。そもそもこのリスクはどの程度深刻?食品安全委員会の見解。ヤコブ病のリスクを評価。疫学的手法に依拠。英国での過去の感染牛の頭数と患者数などの疫学的な情報を用いて将来の患者数を予測。BSEプリオン摂取による病気は0,1人から0,9人。癌による交通事故や自宅での転倒事故による死亡のリスクから言えば低い。治療法が明らかでないが。実際に反して人々の認識は申告になった。牛肉の摂取を控える。感染牛が見つかったのは01年9月。9月と10月の購入量。それぞれ20%減60%減。牛肉の外食チェーンストアが自粛。外食店の倒産が相次ぐ。10年経っても払拭できていない。リスクの実態と認識との乖離。
中国製冷凍餃子事件。08年1月にかけて。千葉県と兵庫県において食中毒が発生。下痢や嘔吐等の中毒症状が。いずれも中国から輸入して販売した冷凍餃子を食べたことが原因と。メタミドホスが検出。農薬投薬は日本にはなく禁止されている。中国でも07年に禁止されていた。メタミドホスは中国国内での製造過程で人為的に。既に日本では不安が高まりつつあった。うなぎなどに抗菌剤が検出されたと報道が。その中で事件が。意図せざる食中毒などの人為性の少ないハザードで起こることとはフェーズが異なる。悪意ある付加。犯罪として。多くの国民は身近な食品安全問題として。社会的に大きな影響。意識調査からも。中国産食品や中華料理に関する調査。食品保健健康政策。冷凍餃子事件の発生前。不安が既に。中国産食品が怖いと感じる人は97%。実際に買い控えの行動を。91%。後の調査では更に顕著に。買い控えているのは95%。実際には危険?80年代の中国では残留農薬事件が多発。90年代には農業技術が改良され品質管理が進む。輸入される中国製食品が。食品の国別の違反率が。12年の国別の届け出件数は中国が30%でトップ。違反件数。中国は221件でトップ。21%。国ごとの違反件数や割合だけ見ると違反が多いように見える。しかし届出数検査の多さにもよる。検査の件数に対する違反の件数の割合を国別に。中国はフランスと同程度。他の国より低い。中国産食品が危ないとは言えない。
食品の放射能汚染問題。福島県を中心に放射性物質が。食品水道水などから検出され懸念が広がる。事故発生後の空間放射線量の増加。3月17日に暫定的な基準値を。管理目標値を年間2ミリシーベルトなどと。食品毎に暫定目標値を。国際放射線防護委員会が食料品の規制値を決めていて安全側に。12年4月1日には新基準値が厚生労働省により。暫定既定値でも確保されているが、長期的観点から可能な程度に低く。各地で農林水産物を介する汚染が懸念されたため、4県知事に対し出荷制限を、福島県知事に摂取制限を指示。野菜類果物類などの産品が各地域につき追加。農作物の放射性汚染の発生。3月20日にはほうれん草が。しかし半減期は8日となる。魚介類も5月を最後に見つかっていない。放射線セシウムについても小さく。11年7月に肉牛から暫定目標値を越えたものが。肉牛の出荷制限と検査指示を。8月25日まで継続。福島の食品放射線汚染は収束。13年3月時点で放射線量は管理目標値の100分の1。自然に含まれる事故由来でないものより小さく。出荷制限で管理が為され、実際の放射線量も低い水準に。事故後1年間は規制値より小さい。事故後1年間の被曝量。1歳から6歳までの男児が一番大きいが。暫定目標値と比べても明らかに低い。事故由来でない通常より低い。食品汚染のリスクは小さい。しかし主観的リスクの認識は様々。大きいと捉えて米など被災地や関東一円の農作物の摂取を控えた人も。学校給食の拒否。卸売市場においては買い控えによることが。事故後2年以上経過しても一部品目について継続。福島産牛肉。2年前から20%価格が下落。
3つの事例に共通。実態と認識の差の大きさ。人々のリスク認知の特性。リスクイメージを想起。非自発的に負担するリスク。コントロールできないリスク。死に繋がるリスク。原因や背景が分からない。馴染みがない。人為的に発生した。新しいリスク。自分や自分の家族への身近なリスク。BSE。普通ではない死に方。被害が遅れて出る。食品の放射能汚染問題でも。関係者への信頼が小さい。矛盾した情報が。食品の放射能汚染問題については原発事故対応や政策への不信感が管理体制への疑念に。目に見えない放射能のリスクが。社会全体として具体的悪影響が。認知バイアスが働く例は他にも。遺伝子組み換え食品。不安を感じる。未知性を嫌がり馴染みがあるものに。国産食品に拘る傾向。食品分類別のデータでも輸入食品のリスクが大きいわけではない。既に知っているリスクには?ソラニン。大量に摂取すると死に至る。有毒性を取り除かなければならないが適切に調理。便益とのバランスで見ることも重要。食品添加物には特に。安全基準のもとで事故は起こっていない。便益も大きい。