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オーラル・ヒストリーの課題と展望(放送大学特別講義)

オーラルヒズトリーは果たして研究手法として続くのかは興味がある。まあ権力過程を見るのには必須の手法だと思うけれど。

 

御厨貴。牧原出。オーラル・ヒストリーの課題と展望。道具としてしょっちゅう使っているが、90年代最初に始めた。下河辺さんの開発行政。本人と周囲の人に。もうちょっと大きく官僚もだが政治家も含めて95年に戦後50年にかける形でオーラルヒズトリーを。最初に論文を書くときに農林水産省や建設省にインタビューを。ピンポイントに聞いて論文に。国土庁など。やっぱり記録を取る。チームとして記録を取る。聞き手が5人位のチーム。官僚も居て10人くらいで。しっかりとした記録が出来た。作っていくことで個人では研究しきれないものが見えてくる。チームとして進める意義が。官庁用語が読めるようになった。普通の人が読むと重要なところが分からないが、発想がわかってくるとリテラシーが出来上がる。21世紀になって中公から。専門家による万民の口述記録。リンカーンのセリフをもじって。万民に開放する義務。相手と自分しか見えないのでとにかく話を聞く。後になり記録を。ワープロのデータが書籍になる。もう一回読み直すと何度も気づきがある。政治家だったり財界人だったり。専門家が相手なので仲間内と違う語りを。読めるようなものになっている。後藤田正晴。得られたもの。後藤田正晴が人差し指を口に入れて抑える喋り方。何か抑えている?かなり言いたいことは言っている。途中で入ってくる人に指示をしたりするのも見えて。20代だったが政治家官僚はかくあるものかと。政治家は第一声で脅かす。報告書と商業出版と。広がりと言うか00年代に入りオーラル制作プロジェクトを。多くの人にオーラルヒズトリーを。非常にきちんと喋る人もいればざっくり要点を捕まえたり。途中で声が小さくなり記録にならない。後藤田正晴が警察官僚や官房長官として。読むと浮かび上がる風景を前提にして。政治や権力の動き方が見えてくる。後藤田さんもベールを剥ぐのは自分だったが。法制局長官のオーラルヒズトリー。内閣官房副長官。同じ官房を複数人から。クロスチェックして見えてくる。双方の観点から。
渡邉恒雄。これは自伝を書く行為とは違う。審問官がいて質問を投げかけるから、自伝に書かないことも喋ってしまう。自分からは抵抗があったが押し出されてしまう。インタビューされる側の気持ちが初めて分かる。気にしながら仕掛けていく。事前に準備をするのは?経歴を調べ新聞記事を調べポストの周辺の人を人事表に。抱えている案件や出来事について聞いていく。新聞記事を検索できるのでこんなことを喋っていると。固い話の中でメダカを飼っていますねなどと、柔らかい玉も持って。宮沢熹一。経済史家の中村先生を。戦前の話をされたら戦前の雰囲気ができていく。老壮青のコンビで。年代層を違えて。若い人を連れて知っている知っていない。初歩的なことでも若い人に説明してもらえることが。世代を分けて同時代を共有している人としていない人に。あられもないことを若い人は聴く。最初の選挙違反の意見。ズバッと聞いて。大学生上がりの人間が知りもしないで聴くのかと。若者効果と年寄効果。市販する準備を。堤氏。守備範囲が広いから橋本次郎といわゆる文学を。鷲田さんを。ボールを投げ返して。広い分野でキャッチできるように異なる専門分野を持つ人を3人位で。横に広がっていく。テーマが広い人には。縦に深めていく。野中広務。岩波書店から。90年代に自民党で選挙のポストに。若者が聞くので、政治部が予め分かっていることだが後世の人間にはわからない。そして政治部の人間とは理解が違うこと。横に広め縦に深める。
最近気になること。オーラルヒズトリーが広がっていったが、自分の問題関心、論文を書くために必要だとオーラルヒズトリーに仕立て上げる。見ると非常に偏りがある。その人達のやり方はラフ。質問用紙の作成もいい加減、人も代わったり。ある種の緊張感が無くなる。かつて一緒にやっていた若い人と一緒に経験が。抜けた質問に気づくと拾ってくれる。論文を書くために。ピンポイントに聴いている時は周辺のことが頭に入ってこない。後で聞くと違うことに。適度なリラックスした状態で喋ってもらい見えてくるものがある。ここを知りたいというとくダネ主義ではなく、全体像を捉えるのがオーラルヒズトリー。無駄が多い。じわじわと理解する時の土台に。
実際に聞き手になっての記録を比較する。後藤田正晴と矢口洪一の対比の列伝。自民党の宮沢熹一と竹下登。2人の引用をしながら比較する。一人ひとりについての特徴から2人をクロスさせることに。会っても話が通じない。後藤田正晴や矢口洪一が情報を共有して次代をつくる。時代を立体的に。日記というものを基礎にする研究が多く。日記を読んだとしても全体像が見えてこない。泳いだ航跡を。オーラルヒズトリーを複数重ね合わせる。慎重に選ぶ。宮沢熹一や竹下登。竹下登さんは記録を残さない人だから貴重。オーラルの手法。オーラルヒズトリーの難しさ。聴いてて深みも広さも。最近の状況の中でオーラルヒズトリーが従来の形で出来るかどうか。比較的成功。さきがけの武村正義。滋賀県から自民党にさきがけに。自治庁の官僚なので準備もしっかり。藤村官房長官。比較的きちんと記録。2つを重ね合わせて政権交代の時の官房長官の比較が。泳ぎきっているプロセスを覚えていないと、紆余曲折が激しい。何を節目にして記録するか。党を渡り歩く人が増えると難しくなる。政権交代もあるからどう記録を取るのが難しくなる。質問項目を作るのが大変。他方でblogが出てきている。何を発信したか分かるのでそれを使い質問ができる。メモ魔として丁寧な応答が出来るかもしれない。政治家に雪隠詰めになる可能性もあるが。前提にするから。blogを元に話を作られても困るが。
今後のオーラルヒズトリーの発展性。オーラルヒズトリーの中公新書。02年に。11年に第2版。次は書き改めではなく全面的に書き起こしを。人口に膾炙して。沈黙の方が尊ばれた時代。旧制高校で同じ釜の飯を食う。ある種の青春の基盤を共有。今はない?どうやってオーラルでメリハリを。細川内閣と民主党。01年に省庁再編。節目はあるが何を感じ取るかは個人で異なる。タクティクスが必要。世相を捉える。ちょうど昭和の世代でいうとニュース映画が無くなる。皆がテレビに。どのチャンネルで何を見たかズレが出てくる。時代の相の段差をオーラルをかさめ合わせて。道路公団という組織。多様な人間に。関係者に軒並み。個人に深く。若い聞き手は全くわからない。比較的余裕がありオフの時間に何があるか。

 

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