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詐欺罪の今日的諸問題(刑事法第7回)

刑法各論は大学の講義ではつまらなかったが、社会を知った後から聞くと面白く感じる。

 

白取祐司。詐欺罪の今日的諸問題。刑法上の財産犯の1つ。犯罪の成立一般に関する総則。77条から264条まで個々の犯罪が。列挙されている個々の犯罪。個人的法益、社会的法益、国家的法益。個人的法益に関する罪。財産的利益。財産犯。窃盗罪が最も代表的で実際の認知件数も一番多い。窃盗は他人の財物を盗む犯罪。基本形。盗む行為を網羅する。空き巣スリ万引などすべて窃盗罪と。窃盗罪は被害者が気が付かない内に。詐欺罪は被害者を欺いて財産を奪う。知能犯。被害者が騙されるプロセスが入るので被害者の意思が介在。意思といっても瑕疵のある意思。財産上不法な利益を得る場合にも詐欺罪は成立。不動産は窃盗の対象ではないが詐欺罪に。財物とは管理可能な動産。不動産侵奪罪に過ぎない。詐欺罪では所有者を騙して登記を移すのも該当する。財産上不法な利益。借金など債務の免除。宿泊など目に見えない利益。人を欺けば詐欺罪が。経済体制の変動で影響を受ける。詐欺罪や横領罪背任罪は処罰の必要性から独自の犯罪に。歴史的沿革もあって個人の財産だけでなく取引の安全など社会的法益も?詐欺罪は財産犯であり経済秩序や取引の安全は解釈に。独立の法律によるべきであり実例もある。個人的法益に尽きると。
詐欺罪はどのような要素で構成されるか。条文自体はシンプル。財物を交付。10年以下の懲役。条文を手がかりに詐欺罪を4つのプロセスに。欺く行為。錯誤。交付行為。間にそれぞれ因果関係が必要。既遂になるには。個々の要件。欺く行為。95年に現行刑法典は口語化。欺罔行為と言っても欺く行為でも同じ。欺くとは人を錯誤に貶める。商品についての誇大広告。詐欺罪にならないわけではないが、ガマの油売のように誇張がつきもので詐欺罪の必要性はない?誇大広告が別の法律。不当表示防止法により罰せられる。かつての豊田商事事件など悪質なものは詐欺罪で立件。偽物と本物として詐欺罪。被欺罔者の錯誤。被害者と食い違うことも。騙された人。被欺罔者は相手方。欺く行為はなされたが欺かれなかった場合は未遂罪にとどまる。見抜いた上で哀れに思った場合も詐欺罪にはならない。機械を操作した場合は単なる窃盗。ATMも。被欺罔者の交付行為。錯誤に基づき占有移転。財産的利益を移転させる処分行為。欺罔者の債務を免除する意思表示。処分行為を2つに。処分意思。認識すること。幼児や酩酊した人から債務免除をしても該当しない。客観的処分行為。権限がある人が必要。登記を移しても登記官吏に権限はない。財物や財産的利益の移転。交付処分する行為で移転が。証券を捨てさせた場合は財産の移転はない。家を捨てさせて証券を拾った場合なら詐欺既遂罪が成立。4つの要件が必要。損害発生も必要か。既遂になるには損害発生も必要。詐欺罪に置ける存在はもの時代を損害と考える。事例。被告人は小児麻痺に効く機械を2200円で販売。59年9月28日決定最高裁。価格相当の金品でもことさら効用に付き真実に反する事実で誤認させた場合は詐欺罪が成立。医学的効用の問題。被欺罔者の側に損がなかったとしても動機づけられ代金を払えば詐欺罪が成立。個別財産の喪失があれば。今まで見てきた詐欺の成立要件を無銭飲食について。粗暴犯との対比として知能犯の中心。無銭飲食。刑法上詐欺罪になりうるが。別のハンドバックを下げてレストランに。財布を忘れたことに気づく。詐欺罪は成立しない。欺く行為がない。刑期を終えて出所。お金がないのに食堂に入り食事を。店員を呼んで警察に。後で代金を支払わないことに認識が。人を欺く意思がある。女性は食事中に財布を忘れたことに気づく。話すのが恥ずかしいので知人から金を払うからと戻ってこなかった。女性は料理を注文する時はともかく債務が生じた後に欺く行為を。財物の詐欺と財産上不法な利益。債務を免れる。単に無銭飲食の詐欺と言ってもかなり複雑。
もっと現代的な詐欺。クレジットカード不正利用。カード詐欺の手口。後でクレジット会社の資金の調達見込みがないのに多額の家電製品を購入して現金に。経済的損害はない。クレジット会社は債務を持つが支払う能力がないのに。詐欺罪が成立するが法的構成が問題。加盟店が形式的に問題なければ損をしない。リスクはクレジット会社が後で負う。信用システムを詐欺罪で守るのは無理がある?実務では加盟店が被害者と。何を損害と考えるか。最終的なものではなく電化製品自体を。加盟店は被欺罔者と言えない?カードシステムへの問題。他人名義のクレジットカードを使う行為は詐欺に?加盟店で。04年の最高裁。被告人はクレジットカードの名義人本人になりすまし誤信させて交付を。詐欺罪を構成する。使用を許されていた可能性があるが、仮にそうでも詐欺罪は成立。結局はクレジットカードの安全という社会的法益を守ろうとしている?偽ることを持って詐欺罪とする判例理論は更に強まる。不正に入手した他人の国民健康保険証を使い通帳の交付を。第二審の高裁は当然に公布される証明書類似のもの。利益は定型性を欠くので詐欺罪を構成しない。02年10月の最高裁。所有の対象であり払い戻しなど利益を有する。公布させる行為は財物の詐欺に当たると。高裁が言うように開設が詐欺罪の類型に当たらないのでは?銀行システムにとり重要。他人名義に対する法的規制が必要で罰則も必要。しかし直ちに詐欺罪で処罰するのはどうか。07年7月の最高裁。行員に申し込むこと自体が。第三者に移転することを秘しての行為は欺罔行為に当たると。詐欺罪を構成することが明らか?銀行により本人確認は重要だがマネーロンダリングなど預金口座が犯罪に利用されないために。刑事政策的には分かるが詐欺罪を使う必要はない。広い範囲になってしまう。航空券の譲り渡し。詐欺罪になると。数名の共犯者が出るが単純化して2人に絞って。外国人はカナダへの不法入国のために協力者が自己名義の航空券を。搭乗券を係員から入手してトランジットエリアで外国人に交付して不法入国。計画通りに実行されるが途中で発覚。協力者が隠したことが。航空会社にとり重要であり詐欺罪に当たると。搭乗券の請求があった場合の手続き。搭乗券の交付を。旅券と氏名などを。本人確認をする理由は氏名に記載している者以外が登場することが危険性を。不法入国の防止のための義務。搭乗させないことが経営上重要。交付を請求するものが応じることはなかった。搭乗券の交付を請求するものが登場するかは重要な事項。自己に対する搭乗券を他者に渡す意図であるのに秘して係員に搭乗券の交付を請求する行為は欺く行為にあたる。財産的損害ではなく航空運送事業の重要性。記載の者以外の者を。安全上重大な弊害を。不法入国の防止。運行上の安全。ハイジャックなどの危険性。航空会社の経営に重要。これを詐欺罪でカバーするのは同様の問題が。請求した行為を人を欺く行為と。その交付の判断の基礎となる事項を欺くこと。ゴルフ場詐欺事件の最高裁。判例が14年3月28日。利用に関して暴力団関係者であることを告げない。無罪判決。宮崎判決。有罪判決。長野決定。宮崎判決。ビジター利用客。一般の利用客と同様に偽り無く記載して施設利用を申し込む。ゴルフ場利用を申し込む行為自体は通常の方法で利用し代金を支払うが暴力団関係者でないという内容はなく欺く行為は無い。長野決定。暴力団員とゴルフ場の会員。約款で暴力団関係者使用を禁止。2人でプレー。詐欺罪に該当すると詐欺の共謀共同正犯と。人を欺く行為になるかの重要事項。利用客が暴力団関係者かどうかは重要事項であり申告せずに施設利用を申し込む行為は誤信させることであり人を欺く行為に該当する。長野決定は航空券詐欺とは違い経営的に損害を被るかを考慮せず。経営上重要であることが明らかだから言及せず?正反対の結論。何方のゴルフ場でも規定を持ち立て看板を。確認する措置があったかどうか。長野ではデータベース化したのが大きかった。ゴルフ場の対策の徹底で分かれる。
刑法が時代に追いつくには解釈や立法で。詐欺罪は典型的。

 

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