ずっと借りている書籍の紹介をする。1冊目は、「命の経済 パンデミック後、新しい世界が始まる」。ジャック・アタリ氏の書物である。
簡略な目次はAmazonの頁にもあるけれど、詳細な目次は無いので最初のentryでは引用をする。詳細については次のentryから。
「命の経済」
はじめに
本書執筆の動機/聞くべき声に耳を傾ける/われわれが問うべきこと/ 死から目を背けることなかれ/私の怒り/パンデミックとの戦いは「戦争」である/危機をチャンスに変える 「命の経済」
第一章 命の値段が安かったとき
帝国を守るという信念
古代文明と感染症/旧約聖書に見る感染症/古代ギリシア、民主制の崩壊/ ローマの神々を葬り去る/東ローマ帝国を飲む腺ベスト/イスラームの知恵/世界各地で猛威を振るう疫病
治安当局だけでは王国を守れない
中世を揺るがす/世俗化の始まり/大航海時代とともに/啓蒙思想:理性と科学
一国の努力だけでは国を守れない
衛生観念の向上
感染症管理体制の確立
検疫と国際協調/猛威を振るうインフルエンザ/油断大敵
一人一人の健康状態が全員に関係する
世界保健機関(WHO)の設立/ワクチン接種の重要性
エイズ、エボラ出血熱、そして次は⋯⋯
謎の感染症/パンデミックの予兆が次々と現れる/初動が大切/
充分に予測できた新型感染症
第二章 未曾有のパンデミック
容認できない死
自らを欺く中国
予見と黙殺/中国を巡る二つの災い
未曾有のパンデミック
発生源/情報統制/中国発:アジア各地とアメリカヘ/ヨーロッパ、中東、アフリカへ/世界各地で感染爆発/世界規模の感染症に/隠れた犠牲者たち
起こるべくして起こった流行
感染爆発を許した背景
うまく立ち回った国々
過去の過ちから学んだ韓国/経済活動の停止を回避/少人数での徹底対策:台湾、ニュージーランド、アイスランド/強権発動/ベトナム、イスラエル
方針を誤った国々:中国スキャンダル
都市封鎖
ヨーロッバの大きな過ち:韓国でなく中国を真似る
早期に、主体的に対策を講じることの重要性/過ちに気づいた後も⋯⋯/ついに中国型ロックダウンへ/遅きに失した政策転換/世界人口の半数が自宅待機
ありふれた出来事になる死
独自策をとったスウェーデンでの感染拡大/経済優先策を強行したアメリカ大統領/ブラジルでも州政府と大統領が対立/脅威を免れているアフリカ大陸、しかし⋯⋯
医療従事者、マスク、検出用キットを巡る戦い
パンデミック時の人材不足/生産、開発、輸送の遅れ/各国のマスク生産事情/恥ずべき争い
つかの間の収束か?
収束に向かいつつある国、見通しが立たない国
第三章 一時停止した世界経済
「たいしたことはない」との思い込み
現実否認:孤立経済
テレワークの光と影
奈落の底
一変する世界の雇用状況/危機の影響を受けやすい中間・貧困層/副次的な影響
これまで以上に忘れ去られた途上国の存在
セーフティネットのない人々の困窮/先細る出稼ぎ労働者の仕送り
問題の先送り:孤立経済に投入される公的資金中央銀行による際限なき支援/保険も役には立たず/財政赤字の急増/幻想に基づく支援
「危険はいずれ収束する」という幻想
大盤振る舞い/公的債務の削減を巡る四つの方法/中央銀行という打ち出の小槌
問題先送りの行き着く先
孤立社会に忍び寄る緩慢な死
エゴイズムの台頭と社会的格差の拡大
生きる力を奪われる人々/未来からの逃避
第四章 国民を守り、死を悼む政治
政治の重要な役割: 国民を守る
蔓延する政治不信/死を悼む
安全と引き換えの隷属は拒む
全体主義の萌芽/世論を厳しく監視する中国共産党/パンデミックに便乗する独裁勢力/一時的な措置が恒久化する恐れ国際情勢への無関心/窮地に陥る代議制民主主義
地政学上の危機: アメリカでも中国でもなく
保護主義への回帰は衰退への道/超大国になるのは中国か?/アメリカは衰退の一途を辿るのか?/一党独裁体制はいずれ行き詰まる/過大評価されている中国/理想の社会像となり得るEU/一触即発の米中関係: EUの使命
巨大企業対国家
パンデミックでさらに巨大化するGAFAM/政治を動かす巨大企業
人工物によって支配される人類
今こそ気候変動を真剣に考えるべきである
変化し始めた人々の価値観/経済成長を念すべきなのか?/人類を脅かす無数の脅威
第五章 最悪から最良の部分を引き出す
深まる孤独
人類と孤独/「孤独という伝染病」/自己と向き合う貴重な機会のはずが……
死を覆い隠す:気を紛らわせて生きる
日常生活から締め出される死/ヴァーチャルに徘徊する死者/自身の亡霊の虜になってはいけない
マスクの起源
歴史上に存在した数々のマスク (仮面)/没個性の医療用マスク/生命は画一的なところには宿らない
未来の企業像
過小評価されている職業:看護師、清掃員、 レジ係、教員/定着するテレワーク/質の高い交流の場をつくる/企業の新たな評価基準
企業は居心地のよいホテル
テレワークの弊害/観光業のノウハウを活かす
非営利活動の発展
非営利組織が担う大きな役割
消費行動と小売形態の変化
情報リテラシー
時間の新たな利用法: 自ら行動する
傍観者から行為者へ
監視と信頼
監視という諸刃の剣
第六章 命の経済
治療薬とワクチン
前途多難
ヘルスケアの強化を図る
資源の確保と人材交流/遠隔医療の発展/供給体制の抜本的な見直し
新たな対話の形: 食生活を改める
少肉多菜/少糖多果/地産地消/新たな食文化
密集型都市からの脱却とソーシャルディスタンス
一極集中の是正/事業用施設に求められる変革/すでに進行する分散化
すべては教育から
社会のデジタル化に向き合う/遠隔教育の発展
岐路に立たされた高等教育
教員の葛藤:負担と制約/学生が失う機会/生涯学習を拡充するチャンス/大学改革
文化と娯楽を遠隔で存続させるには
サッカーから見える娯楽の未来/ビデオゲーム化するのか?/ヴァーチャル化とナルシシズム
市場が推奨する分野と企業
市場では満たせない莫大な需要: 「命の経済」
デジタル技術の導入とジェンダー不均衡の是正/地球規模の問題に地域レベルで対処する
「命の経済」への転向
蒸発する航空需要
観光業を教え
持続可能な観光とは/高齢者施設への転用/医療サービスへの転進/地域経済を支える観光業
環境保護の原動力になる 「命の経済」
第七章 パンデミック後の世界はどうなる?
サイエンス・フィクションから学ぶ/「ゲームオーバー」になる前に
未来のパンデミック
衰弱する民主主義/世界規模の法の支配/さまざまなパンデミック/バイオテロ: 悪意による感染症/サイバーテロ
エコロジーの課題
すでに始まっている災害/大気、水、食の危機/わかっていながら行動しない
地球温暖化がパンデミックを引き起こす
蚊の生息域拡大と永久凍土の融解
政治危機という陰鬱なパンデミック
自由よりも安全を優先する社会/忍び寄る独裁政治
結論 「闘う民主主義」のために
将来世代を危機から守るには
戦時経済を振り返る/忌まわしい記憶/戦略の欠如
「生き残りの経済」から「命の経済」へ
「闘う民主主義」の五原則/フランスの緊急課題
未来へ向けて: 儚くもすばらしい命を生きる