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今回は、離婚とそれに関連して生じる問題についてお話しします。
まず、離婚の統計資料を見てみましょう。こちらのグラフは、1970年から2020年までの年次別離婚件数を表したものです。1970年の離婚件数は約9万6000件でした。その後、2002年まで増加しており、この年は約29万件に達しました。以降は減少傾向にあり、2020年の離婚件数は約19万3000件となっています。
次に、離婚手続きの流れを見てみましょう。夫婦の一方または双方が離婚したいと考えた場合、まずは夫婦間で話し合いをするのが一般的です。話し合いの結果、双方が同意すれば離婚が成立します。これを「協議離婚」といい、民法763条で規定されています。夫婦間の話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。協議離婚が成立しなかったからといって、すぐに離婚裁判を行うことはできません。裁判の前に調停を経なければならないというルールがあり、これを「調停前置主義」といいます。
調停は、家庭裁判所において調停委員を介して行われる話し合いの場です。調停では、当事者間で直接話すことはなく、当事者は交互に調停室に入り、調停委員と話をします。調停委員と話していない当事者は、待合室で待機します。入れ替えの時に当事者が顔を合わせることがないよう、待合室は別々に用意されています。調停委員は、当事者双方から言い分や希望を聞き取り、それを反対当事者に伝えるとともに、解決に向けた助言をしてくれます。調停委員を介して行われる話し合いというのは、そういう意味です。
調停で解決できない場合、つまり調停が不成立となった場合は、家庭裁判所に離婚裁判を提起することになります。離婚裁判は、正式には「人事訴訟」といいます。裁判の中盤以降で裁判官が和解を促進することも多く、裁判上の和解によって解決することもよくあります。しかしながら、当事者の意向が大きく異なる場合や、離婚に伴う条件が大きくかけ離れている場合には、離婚の是非について判決が言い渡されることになります。
第4回のテーマは、離婚に関して生じる問題として、「婚姻費用分担」「財産分与」「慰謝料」「養育費」「年金分割」の6つになります。