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GROWモデルと自己決定学習の支援(成人の発達と学習第8回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

このように、学習支援によって成人を自己決定学習へと導くことができるというわけですが、赤尾先生、いかがでしょうか。

そうですね。人間は何もないところから自然に、かつ自発的に、1人で自己決定学習者(セルフディレクテッド・ラーナー)になれるわけではありません。そこには当然、学習支援、すなわち教育が先行しなければならないのです。小学校や中学校の段階から、学び方を学ぶ(ラーニング・ハウ・トゥー・ラーン)といった授業が展開される必要がありますね。もちろん、先生方による知識の提供は必要ですが、児童・生徒が身につけた知識を活用して問題に取り組む時間もどうしても必要です。現在流行しているアクティブ・ラーニングは、知識の受信だけでなく、その加工や発信を目指している点で、自己決定学習の力を育成する上でも大きな影響を与えていると言えるでしょう。

確かにそうですね。それでは、ここで印刷教材にある「自己決定学習の段階モデル」を見てください。これは、GROWモデルと呼ばれるもので、成人学習者を学習の成熟度や自律性に基づいて4つの段階に分類しています。このモデルによれば、成人学習者は次の4段階に分けられます。

  • 段階1:学習者は自分で学習内容を決定できず、何をすべきか教えてくれる教師のような存在が必要な段階。
  • 段階2:自分で学習内容を決定できることもありますが、学習への動機付けや自信はあるものの、学ぶ内容について十分な知識がない段階。
  • 段階3:学習者は自分で学習を決定でき、学習スキルや知識もありますが、学習支援者がいれば特定の内容を深く学ぶことができる段階。
  • 段階4:学習者は自分で学習を決定し、学習を計画・実行・評価する能力を持っている段階。

そうですね。GROWモデルに基づく段階1から段階4までの整理は、自己決定学習ができる人とできない人がいるという点を成人学習の実践において重要な視点として提供していますね。