ーーーー講義録始めーーーー
もう一つ気になったのですが、それぞれの普遍定数の「スケール」、つまり10の何乗といった数の桁がかなり異なるように思いました。
とても良い視点ですね。さらっと触れましたが、例えば万有引力定数は10の-11乗でしたね。それに対し、真空中の光速は、約3.0 × 10⁸ m/sです。マイナス11乗とプラス8乗とでは桁が大きく異なります。もちろん、次元も異なるので直接比較はできませんが、スケールで見ると小さいものも大きいものもあります。
例えば、万有引力定数が非常に小さいことは、重力がとても弱い力であることを示しています。具体的には、1kgの物体を1メートル離しても、引き合う重力は約6.67430 × 10⁻¹¹ ニュートン(N)しかありません。ほんの少し摩擦が加わるだけで、この力は無視できるほど小さくなり、物体は動きません。
それに対して、真空中の光速が非常に大きいのは、電気の力が非常に強いことに関連しています。例えば、静電気で髪の毛が逆立つことがありますが、これは重力では起きない現象です。電気の力は、原子を構成する陽子と電子の間で働き、物質の安定を保っています。つまり、電気の力は私たちの体や物体の存在そのものに欠かせない力なのです。
さらに、ボルツマン定数(約1.38 × 10⁻²³ J/K)やプランク定数(約6.626 × 10⁻³⁴ J·s)のように、極端に小さい値を持つ定数もあります。これらは、原子や分子などのミクロな世界に関連していることを示しています。プランク定数に関しては、日本語では「点で66(見ようともしない)」という語呂合わせで覚えられ、極小の世界に関わる定数であることが強調されています。
このように、普遍定数には10の-34乗のように小さな数もあり、私たちのスマートフォンの動作にも影響を与えています。こうした話題も、今後の授業で詳しくお話ししたいと思います。