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瞬間速度と微分の関係を学ぶ(初歩からの物理第2回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

次のステップとして、微分と積分を使って「なぜ二乗が出てくるのか」ということを探っていきたいと思います。

運動を表すために数値や関数を用いることはわかりましたが、時間と共に変化する運動を数学の言葉でどのように追いかければいいのでしょうか。ここからは微分と積分の考え方が登場します。これが次のテーマです。


会話内容

話者A:「さて、どうですか?例えば、ある人が車で家を出てから10分後に警官に止められ、スピード違反で捕まったとしましょう。警官は『あなたは時速100キロで走っていましたね』と言う。するとその人はこう切り返します。『10分しか経っていないので、1時間の距離が出ていないはず。だから時速なんて計算できないでしょう?』と言い返したという話がありますが…」

話者B:「確かに、その説明はちょっと苦しいですね。速度って瞬間瞬間で変わりますよね。けれど、その瞬間ごとの速度をどう表すかが問題なのではないでしょうか?」

話者A:「そうです。『道のり ÷ 時間』で計算すると、ただの平均速度になり、実際の瞬間の変化を捉えられません。ここで微分の考え方が登場します。さっき示した図を少し一般化していきましょう。時間 tt を特定せずに、そのまま tt としておきます。つまり、好きな時刻を代入できるようにします。時刻 tt での物体の位置を x(t)x(t) と表すと、関数としての一般的な書き方になりますね。」

話者B:「つまり、好きな数値を tt に代入すると、その時刻での xx の位置が出てくる、ということですね。」

話者A:「そうです。そして、瞬間の速度を決めるために、どうすればいいと思いますか?」

話者B:「2つの時刻を比較すればいいんでしょうか?」

話者A:「その通りです。時間が少し進まないと、速度については話せません。進んだ時間の幅を『デルタ』、つまりギリシャ文字 Δ\Delta を使って表すことが一般的です。『少し進んだ時間』を表すとき、時間の幅 Δt\Delta t を使います。」


ここで、説明のために Δt\Delta t の間隔を広げて書きますが、実際には極限的に小さくしていくことを考えます。では、時刻 tt における位置が x(t)x(t) であり、時刻が t+Δtt + \Delta t に移ったときの位置を x(t+Δt)x(t + \Delta t) とします。

話者A:「このとき、位置の変化量を時間で割れば平均速度が求められます。この計算を数式で書くと、次のようになります。」


数式の説明

  1. 位置の変化量は x(t+Δt)x(t)x(t + \Delta t) - x(t)
  2. 平均速度は、位置の変化量を時間の幅で割ったもの x(t+Δt)x(t)Δt\frac{x(t + \Delta t) - x(t)}{\Delta t} となります。