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NPO法人の現状と課題を解説(市民自治の知識と実践第7回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

NPO法人の現状と課題

では、NPO法人の活動状況と課題について簡単に見ていきましょう。

現状

認証を受けて法人化したNPO法人の数は、現在5万団体を超えています(印刷教材の図7-4参照)。地域別では、東京都や神奈川県などの首都圏、大阪府や愛知県、福岡県といった大都市圏に集中しています。

活動内容については、印刷教材の図7-5を参考にすると、主に以下の分野に関わる法人が多いことが分かります:

  • 保健・医療・福祉
  • 社会教育
  • 子どもの健全育成
  • まちづくり
  • 学術・文化芸術・スポーツ

これらの分野で活動する法人は全体の半数以上を占めています。

また、税制上の優遇措置を受けられる認定NPO法人の数は、現在約1,100法人程度にとどまっています(印刷教材の図7-6参照)。これは全体の規模に対して非常に少なく、認定NPO法人が占める割合は全体の約2%に過ぎません。


課題

NPO法人は市民自治の担い手として重要な役割を果たしていますが、いくつかの課題が指摘されています:

  1. 規模の小ささ
    調査によれば、NPO法人の約4割は常勤職員を持たず、ボランティアで運営されています。

  2. 財源の脆弱性
    団体収入の7割以上が自治体からの委託や助成に依存しており、自主財源が不足している現状です。このため、NPO法人が行政の下請け団体のような立場に陥り、市民が自由に社会貢献活動を行うというNPO法の目的に矛盾する可能性があります。

  3. 認定NPO法人の少なさ
    認定NPO法人の数が全体の2%に留まっているため、税制優遇措置を受けられる法人の規模が非常に限定的です。

  4. 人材確保の困難
    常勤職員を持たない法人が多いため、人材の確保が難しく、組織としての持続可能性に課題があります。


今後の展望

NPO法人が本来の目的である「市民が自由に行う社会貢献活動」を健全に発展させるためには、以下の点が重要です:

  • 自主財源の確保
    認定NPO法人制度を活用して寄付金収入を増加させることが期待されます。

  • 人材育成と確保
    常勤職員を含む人材の安定確保が、NPO法人の持続的な運営に欠かせません。


本稿では、NPO法人の現状を概観し、その課題と可能性を整理しました。これらの課題に取り組むことで、市民自治の重要な担い手としての役割をさらに果たすことが期待されます。