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教育文化の社会学第7回:生徒文化と学校空間の変容
第7回のテーマは「生徒文化と学校空間の変容」です。ここでは、生徒文化が持つ多様な意味や機能について、学校空間の変化と関連付けながら考察します。
学校生活と生徒文化
学校生活は、授業などのフォーマルなカリキュラムだけでなく、課外活動や休憩時間、放課後といったインフォーマルな時間も含まれています。この中で、生徒同士が交流を深め、グループを形成していくことは自然なことです。
内閣府の「世界青年意識調査」によると、日本では「友達との友情を育む」が学校生活の意義として最も多く挙げられており、その割合は60%を超えています。この結果からも、学校生活における友人関係の重要性が伺えます。
こうして形成される文化は「生徒文化」または「生徒サブカルチャー」と呼ばれます。生徒文化はインフォーマルに作られるため、その意味や機能が意識されにくいものの、実際には教育やアイデンティティの形成に大きな影響を与えています。
生徒文化の多様なタイプ
生徒文化は様々な視点から分類することができます。
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学校の価値観に基づく分類
- 向学校的文化:学校の価値観や規範に適応する「優等生グループ」や「真面目グループ」。
- 反学校文化:学校の価値観に対抗する生徒文化。
- 非学校文化:学校外の生活に重きを置く文化。
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ジェンダーサブカルチャー
男女別学の学校などで見られる、性別ごとに形成される文化。これがアイデンティティの重要な一部を形成し、将来の生き方に影響を及ぼすことがあります。 -
階層文化
欧米では、生徒文化と出身階層の関係が重要なテーマとして研究されています。特に労働者階級の文化と学校教育の関係は、生徒サブカルチャーの可能性や限界を考える上で注目されています。
高校生文化に焦点を当てて
小学校や中学校と比較して、高校では生徒サブカルチャーがより多様化します。本講義では、高校生文化に焦点を当て、その具体例や社会的意味について考察します。これにより、生徒文化がどのように形成され、学校生活や社会全体にどのような影響を与えるのかを明らかにします。