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看護学の基本概念と実践の重要性(看護学概説第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

第1回のテーマは「看護学概論」です。
看護学概論は、看護学の主要な概念や理論に関する先進的知識を幅広く獲得し、実践の科学である看護学への理解を深めることを目的としています。

今回の授業では、看護とは何か、看護の基本概念、看護の対象である人間を全体的存在として捉えること、そして看護実践者が身につけるべき能力について学びます。


看護とは何か

看護の原点は、女性が家族の病気に気づき、世話が必要であることを本能的に認識し、世話をしたところから始まったと考えられます。
「看護」の「看」の字は「見る」を示し、目でよく観察し、手を使って他者を見守り、世話をすることを意味しています。英語の「ナーシング(nursing)」は、その語源から、他者を見守り、保護し、その人の成長や発達に関与するという意味が含まれています。

看護の定義が初めて示されたのは、1859年にフローレンス・ナイチンゲールが著した『看護覚え書き(Notes on Nursing)』です。
ナイチンゲールによる看護の定義は以下のような内容です:

  • 新鮮な空気、適切な食事、温かさ、静かさなどを整える。
  • 患者の生命力の消耗を最小限に抑えつつ、これらを活用する。

ナイチンゲールは、病気を「回復過程」と捉え、看護の役割は自然が患者の回復を促進できる環境を整えることであると述べました。
具体的には、患者の体内で自然治癒力が発動しやすいように、回復を阻害する要因を予防し、回復を促進する環境を作ることを看護としています。さらに、病気の人だけでなく、健康な人へのケアや健康増進も看護師が取り組むべき活動であるとしています。

『看護覚え書き』の副題は「What It Is and What It Is Not」(看護とは何か、何ではないか)です。この副題には、看護師が行った行為が本当に看護であったのか、それとも看護ではなかったのかを問い直す意味が込められています。
ナイチンゲールは「看護という言葉の意味を私たちは同じ理解で共有するべきだ」と述べ、看護師や学生が看護を共通の概念として理解する重要性を強調しました。


看護学生の役割

臨床実習において、看護学生は受け持ち患者の日常生活支援を行う際、事前に内容を説明し、同意を得る必要があります。看護学生が行う行為は、将来的に看護師として行う行為そのものです。
例えば、病院実習では、入院患者が理解できるように、実践内容を明確に説明する能力が求められます。また、患者のケアには看護師だけでなく、多職種が関与しています。入院期間が短縮されている現在では、患者が短期間で退院できるように、各職種が連携してケアを提供しています。
そのため、他職種にも看護師の役割を理解してもらう必要があり、看護を規定し、その社会的責任を明確に示すことが重要です。