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地域包括ケアシステムと看護実習の役割(看護学概説第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

国は、急速に進む少子高齢化を背景に、2025年をめどに、重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるようにするため、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。

医療分野では、高度急性期から慢性期までの病床機能の分化および在宅医療の推進が進められ、病院完結型から地域完結型への移行が進行中です。

高度急性期医療が行われている大学病院での実習では、重症患者を受け持つことになります。看護の初学者にとっては、患者の疾患や受けている治療を理解するだけでも時間がかかることが多く、在院日数が短縮されている現状では、退院後の生活に目を向けた指導を考えているうちに退院してしまうという経験をする学生も少なくありません。

入院した時点から退院後を見据え、生活の視点で患者を捉えることは非常に重要ですが、初学者にとっては容易ではありません。そのため、初学者が生活の視点から患者を捉えられるようにするため、病床の機能や文化を考慮し、回復期リハビリテーション病床および地域包括ケア病床での実習を計画しています。短期間でも退院後の生活に目を向けられる工夫も取り入れています。

看護師には、疾患治療だけに焦点を当てるのではなく、病気を抱えながらも生活を営む人として患者を捉え、生活の質(QOL)を改善することを目指す姿勢が求められます。この視点を学生にも学んでもらいたいと考えています。