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統計学学習の指針と計算体験(社会統計学入門第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

最後に、この講義を受講するにあたっての指針をお伝えします。
統計分析から導き出される結果や統計量は、元のデータを加工・圧縮して得られた情報の一部にすぎません。それらが何を意味しているのかを正確に理解せずに使用すると、誤った情報が独り歩きし、誤解を招く危険性があります。そのため、各手法や統計量について、その計算手順や意義をしっかりと理解する努力をしていただきたいと思います。

その一助として、受講者の皆さんが自分で統計量を計算できるような例題を印刷教材に用意しています。受講に際しては、平方根の計算ができる電卓を事前に準備し、印刷教材に掲載されている例題を実際に解きながら、分析を追体験してください。

将来的に実際のデータ分析を行う際には、手計算ではなく、専用の統計ソフトウェアを利用することが一般的です。ただし、出力される結果がどのような過程で計算されているのかを理解しないまま進めることは望ましくありません。ごく簡単なデータで構いませんので、自ら手を動かして計算を体験することで、計算手順や背後にある考え方を身につけることが期待されます。したがって、この講義で提供される例題を通じて、ぜひ手計算を行ってみてください。

また、分析手法や統計量の学習は、事前に学んだ知識の積み重ねがあって初めて可能になることがほとんどです。この講義でも、各回の内容は単独ではなく、それ以前に学習した内容を基に展開されています。そのため、学習する際には必ず復習を行い、忘れてしまった事項があれば、前の内容に戻って理解を深め直すことを強くお勧めします。

統計学の学習は、一足飛びでできるものではありません。一歩一歩を着実に進め、途中でつまずいたら一度立ち止まり、戻って確認するという地道な学習が求められます。しかし、こうした努力を経ることで、膨大なデータを少数の情報に集約するという「統計分析」という強力な道具を使いこなせるようになるはずです。

この講義がその一助となれば幸いです。