ーーーー講義録始めーーーー
インタビュー内容:グループミーティング参加後の変化
【インタビュイーの体験談】
ミーティングに参加して、どのような変化を感じましたか。
参加していた仲間が非常に前向きで、生き生きとしている様子がとても印象的でした。その姿を見て、私自身も何か行動しなければならないと強く感じました。そこで、家から少し離れたコンビニエンスストアで短時間のアルバイトを始めました。症状がまだかなり現れる状態で、緊張や疲労を感じながらもアルバイトを続け、2~3年後には、当時学んでいた簿記の知識を活かし就職活動に取り組めるまでに回復を実感しました。希望が見え、頑張ろうという気持ちが芽生えたのです。
ただし、就職活動はうまくいかず、現実を痛感する場面もありました。それでも、努力し続けなければならないと考えました。しかし、当時は「精神病だから誰からも相手にされない」「価値のない人間だ」と自分を否定する偏見すら持っていたのです。こうした自己偏見は、クリニックのミーティングに参加する際にも、他のメンバーに対して無意識に劣等感や劣位感を抱かせる結果となっていました。
表向きは他の人たちの悩みを聞いたりアドバイスしたりしていたものの、内心では「自分は無能力者でありたくない」という思いが常にありました。今振り返ると、私は人間や社会をピラミッド構造のように捉え、その中で自分の位置づけを過度に意識していたことが、自分の弱さを助長していたと感じます。当時はそのことに気づくことができなかったのです。
【気づきと反省】
ある時、クリニックのミーティングで他の参加者から「安心して話せない」という発言を受けました。私が議論をふっかけたり、意見を強く述べたりしたために、相手が本音を語りにくい雰囲気になっていたのです。その発言は私への非難ではなく、とても寂しく悲しげな響きがありました。それを聞いた瞬間、自分が間違った行動をしてきたことに気づき、本当に反省しました。
しかし、その後、どのようにミーティングに参加すべきかという方向性は、まだ掴めていませんでした。また、ちょうどその頃、グループミーティング自体も表面的な世間話にとどまり、深い話ができず行き詰まりを見せていたと感じています。私自身にも原因があったと思いますが、グループ全体で深い対話ができるようになるまでには、時間が必要だったのです。
【図表:グループミーティング参加プロセス】
- 初期段階:
- 参加者同士の前向きな姿勢に刺激を受け、自己変革の動機が生まれる。
- 外部での活動(アルバイト開始など)を通じ、回復への一歩を踏み出す。
- 自己偏見の克服:
- 自己否定や劣等感が、グループ内のコミュニケーションに影響を与える。
- ミーティング中の発言が、他者の安心感を損なう要因となる。
- 気づきと改善:
- 他者の意見や感情に耳を傾け、自己の行動を反省する。
- グループ全体で深い対話が行える環境づくりが模索される。
このように、ミーティング参加を通じて、自己変革のきっかけと同時に、自己偏見やコミュニケーションの課題にも直面した体験が語られています。