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適切支援で促す自己成長リカバリー(社会福祉実践とは何か第7回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

Yさんの経験から、リカバリーにおいて支援者に求めることは何かという質問に対し、以下のように答えています。

まず、最も大事なのは「適切な時期」に、回復していく本人の状態を正しく見極めることです。私の場合、病気の症状が強く、判断ができない時期があったり、クリニックのグループからセルフヘルプグループへの移行期がありましたが、そのタイミングが新たな段階へ立ち上がるための重要な課題だったと感じています。つまり、その状態をしっかりと見定め、適切に判断していただくことが極めて大切です。

その後、私は病院のセミナーで何度も発表する機会を得ました。発表は非常に緊張し、大変でしたが、その都度、正直に自分自身の体験を語り、真摯に自分と向き合うことで、振り返りの機会となり、結果として自信につながりました。また、セミナーに参加してくださった病気の方やご家族に、少しでもお役に立てたのではないかとも感じています。

さらに、支援者の方々には「過保護にならない」ことが求められます。いわゆる「先回りして全ての辛い経験を取り除こう」とすると、本人が現実に向き合い、痛みや傷つきの手応えを感じる機会が奪われ、回復に必要な成長のチャンスを失う恐れがあります。失敗や悲しみも、生きる実感の一部であり、それらを経験することで本当の回復が促されるのです。つまり、支援者は本人が現実に直面し、自ら成長する機会を尊重する、適度な距離感と関わり方が非常に重要だと考えています。


【図表:リカバリー支援における適切な関わり方】

  1. 適切な時期の見極め
     - 病状が判断不能な時期 → セルフヘルプグループへの移行期
     - 本人の状態を正確に把握し、適切な支援判断を行う

  2. 自己開示と発表の機会
     - セミナー等で正直な体験を発表
     - 自己反省と振り返りを通じた自信の獲得

  3. 過保護にならない支援
     - 先回りしすぎず、本人が失敗や悲しみを経験する機会を尊重
     - 本人が現実に向き合い、成長するための環境づくり


このように、支援者は本人の状態を見極め、適切なタイミングで支援を行うとともに、過保護にならず本人自身の成長を促す関わり方を心がけることが、リカバリーには不可欠だと感じています。