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高血圧診断基準と管理の要点(食と健康第14回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

2‑2. 高血圧

血圧の定義

  • 心臓が収縮して血液を拍出する際に血管にかかる圧力を収縮期血圧(systolic blood pressure)
    拡張期に血液が流入して圧がもっとも下がったときの圧力を**拡張期血圧(diastolic blood pressure)**といいます。

  • 単位は mmHg(ミリメートル水銀柱) です。

測定環境の違い

  • 診察室(オフィス)で測る血圧は、緊張などの影響で家庭測定(home blood pressure)より高く出ることがあります。

  • 家庭血圧は、朝・夜それぞれの安静時に測定した平均値を診断にも利用します。

診断基準(日本高血圧学会〈JSH 2019〉より)

  • オフィス血圧:収縮期血圧 ≥ 140 mmHg または 拡張期血圧 ≥ 90 mmHg が持続

  • 家庭血圧:収縮期血圧 ≥ 135 mmHg または 拡張期血圧 ≥ 85 mmHg が持続

高血圧の重症度分類

階級 収縮期血圧(mmHg) 拡張期血圧(mmHg)
1度 140–159 90–99
2度 160–179 100–109
3度 ≥ 180 ≥ 110

病態と合併症

  • 持続的な高血圧は動脈硬化を促進し、血管壁の硬化・狭窄がさらに血圧を上げる悪循環を招きます。

  • 主要な合併症・関連疾患:

    • 脳卒中(脳梗塞・脳出血)

    • 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)

    • 心不全

    • 慢性腎臓病

    • 大動脈瘤・大動脈解離 など

高血圧は日本人の成人で約40%が該当するとされる「国民病」であり、その予防・管理が脳卒中や心疾患、腎疾患のリスク低減に極めて重要です。次節では、動脈硬化や脂質異常症について解説します。