ーーーー講義録始めーーーー
人類と食の結びつき
人類の祖先は、約600万~700万年前にチンパンジーやボノボから分岐したと考えられています。DNA配列では、チンパンジーとヒトの違いはわずか約1.2%ですが、この小さな差が二足歩行や大脳の発達、言語能力の獲得といった劇的な進化をもたらしました。
1. アフリカ大地から二足歩行へ
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気候変動(約1,000万~500万年前)の寒冷化により、森林資源が減少。
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私たちの祖先は、木の実だけでなく地上の根菜類(芋類など)を掘り出して食べるように。
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二足歩行は、四足歩行よりもエネルギー効率が高く、遠くまで餌を探すのに適していました。
2. 手の自由化と石器の誕生
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前肢が「手」として進化し、石器を使って食物を刻む・解体する技術を獲得。
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石器で食材を細かくすることで、消化効率が飛躍的に向上。
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石器製作自体が、創造的思考を刺激し、脳の発達にも寄与したとされます。
3. 火の利用と調理の革新
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人類だけが火を制御できる動物として、調理技術を発展。
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加熱調理により、食物の消化吸収率が大幅に向上。
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保存性の向上で食中毒リスクを低減し、食料確保の安定性が増大。
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調理と調理器具の発展が、社会や文化の形成にも影響を与えました。
このように、食べ物を求める行動と道具・火の利用が、人類の生存率を高め、大脳の大型化や文化文明の発展を支えてきたのです。