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ウィリアムズ幸福論と道徳教育(道徳教育の理念と実践第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

ある著者は、プランや目標を考えるうえでバーナード・ウィリアムズの幸福論に注目しています。ウィリアムズは「幸福を求めること自体に実現困難な要素が含まれているからこそ、『いかに生きるべきか』という道徳の問いは、この世界への信頼を必要とする」と論じました。

人間は幸福を願うだけでなく、幸福を共有できる社会をつくる責任も負っています。20世紀の道徳哲学者たちは、価値観の多様性を認めながらも「良き人生とは何か」を問い、合理的評価と道徳的忠誠の関係を探究してきました。私たちが生きる社会を批判的に検証し、新たな社会を担う力を育む教育の可能性を追求することが求められています。

もう一つ重要なのは、文化が提供する情報や論拠に照らして自らの信念を吟味する「自由」です。変化の激しい未来を生きる子どもたちは、論争や議論を重ねるなかで、普遍的かつ個別的、抽象的かつ具体的という相反する視点の両方を統合しながら考える力を身につける必要があります。

これからの講義では、道徳というテーマを受け止め、さまざまな立場や価値観を読み解きつつ、「自分はどのように生きるべきか」を共に考えていきましょう。