ーーーー講義録始めーーーー
はじめてお聞きになる方も多いと思います。スポートロジーは「スポーツ(sports)」と「学問を表すロジー(‐logy)」を組み合わせた造語で、比較的新しい学問分野です。以下に、スポートロジーの定義をまとめます。
スポートロジーは、単なるスポーツ医科学の枠にとどまらず、「身体活動」をキーワードとして、多様な専門領域を進化・統合することを目指す新たな学問領域です。具体的には、運動不足が引き起こす生活習慣病や、要介護状態を招く原因疾患の予防研究を推進し、健康寿命の延伸に資する早期発見バイオマーカーや、個々の特性に応じた予防・介入法の開発を行います。また、運動生理学やバイオメカニクス、スポーツ心理学、疫学、再生医療、データサイエンスなどが連携し、身体活動を軸にした新しい予防医学や健康増進の方法論を構築します。
【図1 スポートロジー概念図】
再生医療
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運動生理学 → 身体活動 ← バイオメカニクス
↑
スポーツ心理学
↑
疫学
↑
データサイエンス
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運動生理学 → 身体活動 ← バイオメカニクス
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スポーツ心理学
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疫学
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データサイエンス
このように、各分野が「身体活動」を媒介に有機的に連携し、総合的・学際的に健康づくりを探求するのがスポートロジーの特色です。