ーーーー講義録始めーーーー
「生きるか死ぬか」といった単なる寿命ではなく、ここでは健康寿命を考えます。健康寿命とは、「健康上の問題がなく日常生活に制限されることなく生活できる期間」を指し、介護を受けずに自立した生活を維持できる期間のことです saikokuhoren.or.jp。
健康寿命を延ばすためには、要介護状態となる主な原因を把握し、予防に取り組むことが重要です。以下は、厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和4年=2022年)による、要介護認定を受けた方の主な原因(上位3位)と、その重症度(要介護度)別傾向です 生活習慣病予防協会。
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要介護者(全体)の主原因
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第1位:認知症 23.6%
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第2位:脳血管疾患(脳卒中)19.0%
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第3位:骨折・転倒 13.0%
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重度要介護(要介護度4・5)における主原因
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脳卒中(脳梗塞・脳出血など)による後遺症が最も多く、高次脳機能障害や片麻痺を伴った寝たきり状態の主因となっています。
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その他の主な原因
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高齢による衰弱
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関節疾患(整形外科領域)や骨折・転倒
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【図表1 要介護認定者の主原因と要介護度別傾向】
■ 全要介護者(要介護度1~5)
認知症 ──── 23.6%
脳血管疾患 ─ 19.0%
骨折・転倒 ─ 13.0%
■ 重度要介護者(要介護度4・5)
脳卒中後遺症 ── 最頻原因
高齢衰弱 ── 次位
関節疾患・骨折 ── 続く
解説・ファクトチェック
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認知症が要介護の最頻原因であり、要介護度全体の約4分の1を占めています。
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要介護度4・5(重度要介護)では、脳卒中後の片麻痺などによる寝たきり状態が大きな割合を占めることが、厚労省データから読み取れます。
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その他、高齢衰弱や整形外科的トラブル(骨折・関節疾患)も無視できない主要因です。
これらのデータから、健康寿命を延伸するには、認知症予防(早期発見・生活習慣改善)と脳卒中対策(高血圧管理・リハビリ)、さらに骨折・転倒予防(筋力強化・住環境整備)が特に重要であることが分かります。