ーーーー講義録始めーーーー
では、肥満や糖尿病、メタボリックシンドローム、心疾患などの生活習慣病は、どのような社会背景の変化とともに増加しているのか見てみましょう。以下は1960年以降の各種統計推移をまとめたグラフの説明です。
図表説明
図2 社会指標と糖尿病患者数の推移(1960–2005年)
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糖尿病患者数(万人):1970年代は比較的少数でしたが、2005年まで一貫して増加傾向にあります。
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自動車保有台数(台 × 万台):同期間でほぼ平行して増加。
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コンビニエンスストア店舗数(店舗数 × 万店):外食産業とともに急増。
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一人世帯割合(%):核家族化・単身世帯化の進展により緩やかに上昇。
これらのデータから読み取れる主な要因は以下のとおりです。
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運動不足
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自動車利用の増加による歩行機会の減少
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便利になった移動手段が日常的な身体活動量を低下させる
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過剰摂取
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コンビニや外食産業の増加に伴い、高カロリー食品へのアクセスが容易に
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単身世帯の増加で“さっと食べられる”惣菜やスナック類の利用頻度が上昇
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これらが相乗的に内臓脂肪蓄積を促し、肥満を引き起こします。さらに肥満はインスリン抵抗性や慢性炎症を介して、糖尿病やメタボリックシンドローム、さらには心疾患などの生活習慣病発症リスクを高めます。
ライフスタイル→生活習慣病 発症カスケード(イメージ図)
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社会背景:自動車保有↑/外食・コンビニ↑/一人世帯↑
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ライフスタイル変化:運動不足 + 過剰摂取
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内臓脂肪型肥満:BMI↑・腹囲↑
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代謝異常:インスリン抵抗性・慢性炎症↑
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生活習慣病:糖尿病、メタボリックシンドローム、心疾患など
このように、社会構造の変化とライフスタイルの組み合わせが、生活習慣病増加の背景にあると考えられます。