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内臓脂肪解析と腹囲基準(健康長寿のためのスポートロジー第5回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

それでは、インスリン抵抗性の原因となる肥満、特に内臓脂肪蓄積を、実際の腹部MRI画像で見てみましょう。


図7 腹部横断MRI像による皮下脂肪と内臓脂肪の分布

  • 被験者:身長約170 cm、体重100 kg超の肥満男性

  • 撮像位置:へそのやや上を輪切りにした断面

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│        皮下脂肪領域        │  ← つまめる白い脂肪組織
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│ │   腹筋(筋肉)    │ │
│ │ ┌─────────────┐ │ │
│ │ │  内臓脂肪領域  │ │ │  ← 臓器の周囲に蓄積する白い領域
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  • 白く見える部分は脂肪組織

    • 外側:皮下脂肪

    • 内側:内臓脂肪(腸管や臓器周囲に蓄積)

  • 背骨は画像の後方中央に黒く細長く見え、前方に腹筋・内臓脂肪・皮下脂肪が重なります。

内臓脂肪面積を画像解析で定量すると、100 cm²を超えると「内臓脂肪型肥満(Visceral Fat Obesity)」と診断されます。日本の基準では、男性の腹囲85 cm以上、女性90 cm以上がこの100 cm²超にほぼ対応するとされています。


また、同一被験者が3か月で20–30 kgの減量を行うと、

  • 皮下脂肪は大きく減少するものの残存しやすい

  • 内臓脂肪はより早期に大幅に減少する

ことがMRIで確認されています。これが、健康診断で腹囲測定を行う理由であり、腹囲の増大は内臓脂肪蓄積の指標として有用であることを示しています。