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減量による肝脂肪改善と運動併用(健康長寿のためのスポートロジー第5回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

それでは、筋肉と肝臓が減量によってどのように改善するか、研究結果をもとに見ていきましょう。


筋肉における変化

  • 被験者:体重約100→94 kg(−6 kg)の減量

  • 介入内容:主に食事療法のみで運動量はあまり変わらず

  • 筋内脂肪(Intramyocellular Lipid):¹H-MRSで測定したところ、痩せたにもかかわらずほとんど変化せず

  • 筋肉のインスリン感受性:グルコースクランプ法で評価したところ、減量前後で大きな改善は認められませんでした

※食事のみの減量では筋肉への脂肪沈着やインスリンシグナルの回復は限定的であり、筋トレなどの運動介入が併用されないと筋肉側の改善は難しいことが示唆されます。


肝臓における変化

  • 肝脂肪率(Hepatic Fat Fraction):減量前後で約40→24%へ、30~40%の大幅減少

  • 肝臓のインスリン感受性:グルコースクランプ法で評価したM値が、減量後に約2.4倍に向上

肝臓は内臓脂肪よりも先に脂肪が減少しやすく、わずか 6 kg の減量で肝脂肪が劇的に減少し、肝臓のインスリン抵抗性が大きく改善することがわかりました。


各脂肪部位の減少率比較

以下のグラフは、3か月間での脂肪量変化を部位別に示したイメージ図です。

 

全身脂肪量      :約12%減少  
皮下脂肪量      :約10%減少  
内臓脂肪量      :約20%減少  
肝脂肪率        :約35%減少  
筋内脂肪量      :変化ほぼなし  

 

  • 内臓脂肪は皮下脂肪よりも減りやすく、約20%の減少。

  • 肝脂肪はもっとも減少が大きく、約30~40%の減少を示しました。

  • 筋内脂肪は運動介入なしではほぼ維持されます。


結論

  • 肝臓:減量6 kg で肝脂肪が著減し、肝インスリン感受性が大幅に改善

  • 内臓脂肪:皮下脂肪に比べて減少しやすい

  • 筋肉:運動を伴わない減量では脂肪蓄積やインスリン抵抗性の改善は限定的

これらの結果から、メタボリックシンドローム改善には「適切な食事制限+運動(特に筋トレ)」の併用が重要であることが示されました。