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交渉の51点ルールと南極条約(国際理解のために第13回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

試験ではつい100点や80点を目指しがちですが、交渉で全面勝利を狙うと、敗者に恨みを残し、将来の再対立を招きます。歴史を振り返れば、第一次・第二次世界大戦も一部の「全部勝ちたい」という思いが紛争を激化させた契機です。

交渉の適切な「落としどころ」は、100点満点中51点を確保すること。過半数の成果を得ることで、相手側も完全敗北を回避でき、再挑戦の動機を抑制し、長期的な安定を図れます。

外交は国と国の問題でありながら、当事者は結局「人間と人間」の関係です。妥協策が「弱腰」と批判されるのは、国民に交渉のニュアンスを伝えにくいためです。

同じ発想は南極条約にも見られます。南極はかつて各国が主権を主張しましたが、1961年の南極条約で主権主張を凍結し、共同研究の枠組みを選びました。ある国際法教授は「寒いから主権を凍結した」と冗談混じりに説明していました。

では、頭を冷やす音楽をどうぞ。