ーーーー講義録始めーーーー
竹島海域では現時点で商業的な石油や天然ガスの埋蔵は確認されていませんが、漁業資源をめぐる摩擦は依然として深刻です。日本漁民と韓国漁民がどの海域でどれだけ漁獲できるかは領有権の帰属論とは切り離して議論すべきでしょう。
海洋法上、島の存在を根拠に200海里の排他的経済水域(EEZ)が認められるため、一方的に周辺資源を独占しようとする構想が生まれがちです。しかし実際には、漁業資源については50:50、あるいは70:30など資源別の分配比率を定め、共同管理・共同開発を行う方が現実的です。たとえば1974年の日韓漁業協定では、竹島問題を棚上げしつつ共同漁業水域を設定して漁獲割当を行い、両国漁民の活動を安定化させました。
このように、島の帰属問題とは別に「資源共有」の枠組みを構築することで、おおむねの落としどころを見いだし、漁業を含む海洋資源の持続的利用と両国関係の安定化を図ることが可能です。
