ーーーー講義録始めーーーー
学校と法の講義を始めます。今回は「子どもの権利」をめぐる日本の学校現場の変遷について見ていきます。
国連の「子どもの権利条約」は1989年に採択され、1990年に発効しました。日本は1994年4月にこれを批准し、その後、1990年代半ばから学校教育でも「子どもの権利」の理念が盛んに論じられるようになりました。このころ、書店では関連書籍が多数並び、「子どもの権利を学校へ」というスローガンのもと、厳しい校則や過度な身体拘束を批判する声が高まりました。
それまで多くの教員は「教育には法は馴染まない」と考え、教育を「信頼」「情熱」「愛」といった情緒的価値で捉え、一方で法を「機械的」「理屈っぽい」といった否定的に捉える傾向がありました。教室に法規を持ち込むことは「教育実践を枯らす」とまで言われ、体罰を擁護する意見も少なくありませんでした。
しかし、子どもの権利を尊重しつつ安全で公正な学びを保障するためには、単なる「管理主義」でも「法規排除」でもなく、むしろリスクマネジメントを含むコンプライアンス(法令遵守)の枠組みが不可欠です。次回以降は、このコンプライアンスの意義と方法論を具体的に検討していきます。
