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学校コンプライアンスと裁判事例 #放送大学講義録(学校と法第15回)

ーーーー講義録始めーーーー

 

しかし、「コンプライアンス」という概念は企業経営の文脈で生まれ、多発する企業不祥事を受けて法令や社会規範の遵守が強調されるようになったものです。大企業では行動指針や倫理綱領を策定し、コンプライアンス室を設置する動きが広まりました。こうした潮流は学校経営にも波及しています。

学校現場でコンプライアンスを徹底するには、組織文化や教員一人ひとりの意識改革が不可欠です。まず求められるのは、教員の価値観や思い込み、多忙を理由に従来の学校論理で対応しようとする姿勢を見直すことです。

具体的なコンプライアンス違反の事例としては、学習指導要領からの逸脱や必修科目の未履修が生じるケース、学習指導要領に準拠しない教科書を使用するケースなどが挙げられます。

また、横浜地方裁判所平成22年(ワ)3024号判決(損害賠償請求事件、2010年10月28日)では、私立中学校の教員が問題行動をとった生徒に対し、「退学処分もあり得る」と生徒に心理的圧迫を与えたうえで自主退学を勧めた結果、保護者の苦情を理由に懲戒処分を受け、定年後の再雇用を拒否された事案が認定されました。教員による在籍判断は校長または学校設置者の専権事項であり、一教員の個人的裁量で行うべきではありません。

こうした状況を背景に、学校現場では「教育運営や指導には法規という越えられない壁がある」という共通理解を確立し、誤った認識を是正していくことが急務となっています。