ーーーー講義録始めーーーー
印刷教材では詳しく触れていませんが、この論点が鋭く問われたのが、2011年3月の東日本大震災に伴う津波被害です。学校現場でも多数の犠牲が生じました。文部科学省の資料によれば、被災3県の学校関係では児童生徒等の死亡584人、行方不明116人が確認されています。
最大級の被害を受けた大川小学校の事案では、児童74名・教職員10名の計84名が死亡・行方不明となりました。遺族(児童23名の父母)が**石巻市(設置者)および宮城県(教員の給与負担者等)**を被告として、国家賠償法に基づく損害賠償を求めた訴訟を提起しました(仙台地裁→仙台高裁→最高裁)。
訴訟で中心となった争点は、
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事前の防災体制構築義務(ハザードマップの活用、安全な避難場所・経路の設定等)が尽くされていたか、
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発災後の避難誘導義務が適切に履行されたか、
の2点です。避難の経過としては、校庭への一次避難→約50分間の待機→新北上大橋のたもと付近へ移動開始→避難途中で津波に遭遇という流れが、判決等の資料で前提事実とされています。
この大川小学校事案では、危機管理マニュアルやリスクマネジメント(予防)、クライシスマネジメント(発生後対応)の在り方が厳しく問われ、組織としての安全配慮義務違反の有無が審理されました。
