ーーーー講義録始めーーーー
一審である仙台地方裁判所(平成28年10月26日判決)は、地震発生前のリスク対応については、大川小学校が市作成のハザードマップで津波浸水想定区域に含まれていなかったこと、同校が地域の指定避難場所とされていたことなどを理由に、組織的過失(事前の防災体制構築義務違反)を否定しました。
これに対し、発災後の対応については、防災行政無線の広報車が学校付近を避難を呼びかけながら通過した時点で、津波接近を認識し得たとして、教員には速やかに児童を安全な場所へ避難させる義務があったと判断し、津波到来の予見可能性を肯定しました。さらに、津波到達の約7分前頃までには到来を予見できたとの前提に立ち、学校裏山への避難で被害を回避できた結果回避可能性を認め、請求の一部を認めました。
双方が控訴し、仙台高等裁判所(平成30年4月26日判決)は、一審が否定した事前の防災体制構築義務違反(ハザードマップの活用、安全な避難場所・経路の設定等)も認めました。判決は、公教育制度の下で児童生徒の安全確保が前提とされることを踏まえ、地方公共団体設置の学校について、教育委員会・学校・校長には学校保健安全法および関係法令に基づく児童生徒の生命・身体の安全確保義務が課されていると判示しました。
その上で、当時の法令・通知に基づき求められていた**「危険等発生時対処要領」の整備について、2010年4月末時点で具体的職務上の義務を構成していたと認定。校長らは、過去のデータ等から本件地震による津波が当該地域に到来する可能性を予見し得た以上、当該要領を児童が津波の危険から回避できる内容に改定すべき作為義務を負っていたとしました。教育委員会についても、学校の実情に即した措置・手順を具体化するよう指導・確認し、不備があれば是正を指示する義務があったとされています。
