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大川小学校津波訴訟と安全配慮義務判例 #放送大学講義録(学校と法第15回)

ーーーー講義録始めーーーー

 

この義務を前提に、判決は具体的な判断を行いました。
まず、洪水・土砂災害ハザードマップでは、大川小学校は浸水時に避難場所として使用できないとされていた一方、津波ハザードマップでは避難場所として使用可能とされており、両者の安全性評価に矛盾がありました。判決は、このような児童生徒の安全に直結する情報については、学校設置者である市から提供されるものであっても、教員が独自の立場からその信頼性や妥当性を批判的に検討する義務があるとしました。

この前提のもと、校長には、大川小学校の施設や設備について、在籍児童の安全確保を図るうえで支障となる事項があれば、遅滞なく必要な改善措置を講じ、措置が困難な場合には学校設置者である市教育委員会に報告する義務があると認定しました。教頭についても、同様に施設や設備の安全確保に必要な措置を講じるよう校長に進言し、または必要に応じて市教育委員会への報告を促す義務があるとしました。これらの義務はいずれも、教育委員会・学校という組織全体の安全配慮義務を前提とした職務上の責任として位置づけられています。

本件では、宮城県石巻市および市教育委員会、校長らは、児童を危険から守るための事前防災体制の構築義務や、適切な避難場所の設定義務に違反したとして責任を問われました。

宮城県と市はいずれも控訴審判決を不服として上告しましたが、最高裁判所第1小法廷は令和元年(2019年)10月11日、上告を棄却し、仙台高等裁判所判決が確定しました。

 

日付 出来事 内容 主な法的焦点
2011年3月11日 東日本大震災発生 巨大地震と大津波が発生。石巻市立大川小学校では、児童74名・教職員10名が死亡または行方不明。避難途中に北上川河口付近の「三角地帯」で津波に遭遇。 災害発生時における学校の安全配慮義務の実行状況
2014年3月 訴訟提起 児童23名の遺族が、石巻市・宮城県に対し、学校・教育委員会の安全配慮義務違反を理由に損害賠償を請求。 国賠法1条1項に基づく地方公共団体の責任、学校保健安全法上の義務
2016年10月26日 一審判決(仙台地方裁判所) 津波到来の予見可能性を一定程度認めつつも、地震発生前の組織的過失(事前防災体制)については否定。避難誘導の遅れ等について一部認容(約14億円賠償命令)。 ①避難開始時刻の遅れによる被害発生との因果関係②結果回避可能性の有無③事前の防災体制構築義務違反の有無
2018年4月26日 控訴審判決(仙台高等裁判所) 一審を変更。地震発生前の組織的過失(事前防災体制構築義務違反)も認定し、学校保健安全法に基づく安全確保義務を強調。総額約14億円賠償命令を維持。 ①学校保健安全法(第27条・第29条)に基づく危険等発生時対処要領の作成・改定義務②津波到来の予見可能性③適切な避難場所設定義務④組織的安全配慮義務違反の認定
2019年10月11日 最高裁決定(第1小法廷) 石巻市・宮城県の上告を棄却。仙台高裁判決が確定。大川小学校の組織的安全配慮義務違反を認定。 高裁の事実認定・法的評価に事実誤認・法令解釈誤りがないと判断。組織的過失の確定。

 

 

 

 

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