ーーーー講義録始めーーーー
認知行動療法(CBT)は単一の技法ではなく、歴史的に大きく3つの流れ(世代)に分類され、それぞれ異なる特徴を持っています。
第一世代:行動療法
1920年代のパブロフによる古典的条件づけ研究に端を発し、1950年代以降に臨床応用が広まりました。古典的条件づけを応用した系統的脱感作法やエクスポージャー療法、スキナーによるオペラント条件づけを基盤とする応用行動分析(ABA)、そしてバンデューラの社会的学習理論が代表例です。強化、消去、シェイピングなど行動変容の原理を用いて問題行動の改善を図ります。
第二世代:認知療法
1960年代後半に登場し、思考や信念(認知)に焦点を当てる点が特徴です。精神分析を学んだ治療者であったアルバート・エリスは論理情動行動療法(REBT)を、アーロン・ベックは認知療法を開発しました。これらは認知の歪みが感情や行動に影響を与えるというモデルに基づき、科学的検証を重視した治療法として発展しました。
第三世代:新世代の療法
1990年代以降、マインドフルネスや受容の概念を取り入れたアプローチが欧米で注目されています。マインドフルネス認知療法(MBCT)、弁証法的行動療法(DBT)、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)などが含まれます。これらは考えの内容を直接変えるのではなく、考えに対する関わり方を変え、価値に基づいた行動や柔軟な対応を促します。日本の森田療法の「あるがまま」の考え方と一部に類似点が指摘されています。
これら3つの世代は相互に影響し合いながら発展しており、学習する際には自分がどのアプローチを学んでいるのか理解することが重要です。

