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認知行動療法の問題解決原則と治療的特徴 #放送大学講義録(認知行動療法第1回)

ーーーー講義録始めーーーー

 

認知行動療法(CBT)には、効果的な問題解決のための重要な原則があります。

問題解決の基本原則

  1. 日常場面での実施
    治療セッション内で新しいスキルや行動をロールプレイ・リハーサルで練習し、日常生活(宿題)で実践します。現実の中で行動の改善を図り、当事者が問題解決に積極的に関わる動機づけを重視します。

  2. 心理教育と協働関係の重視
    問題の成り立ちや維持のメカニズムを科学的モデルで説明し(心理教育)、自己理解と自己効力感を高めます。治療者と当事者は協働的関係を築き、問題解決のためにチームとして取り組みます。

  3. 仮説検証の原則(ケースフォーミュレーション)
    問題の成り立ちについての見立てはあくまで仮説であり、それを日常生活や課題を通して検証し、必要に応じて修正します。「とりあえずこのように理解してみましょう」という作業仮説から始めます。

  4. エビデンスベースの実践
    ランダム化比較試験(RCT)、メタ分析、システマティックレビュー、国際的ガイドライン(NICE, APAなど)で有効性が示されている方法を優先的に使用します。

  5. 現実へのチャレンジ
    問題解決には困難な現実への直面が必要です。曝露療法や行動実験などを段階的・計画的に行い、安全に不安や回避を減らします。当事者の気持ちを尊重し、共感と動機づけを大切にします。


治療者の姿勢

当事者との信頼関係が基盤です。共感を示し、一緒に問題に取り組む姿勢を持ち、十分な説明を行って理解と納得を促します。無理強いではなく、当事者を尊重した「協働的経験主義(Collaborative Empiricism)」に基づくアプローチが特徴です。

 

認知行動療法の原則と具体的技法 対応表

 

基本原則 説明(修正版に基づく) 代表的な具体的技法・方法
日常場面での実施 セッション内で練習し、日常生活(宿題)で行動を試すことで現実の中で改善を図る - 行動活性化(Behavioral Activation)- 宿題課題(Homework Assignments)- 行動リハーサル(Behavioral Rehearsal)- ロールプレイ
心理教育と協働関係の重視 問題の成り立ちを科学的モデルで説明し、自己理解と自己効力感を高める - CBTモデル図の説明(5領域モデルなど)- 症状・メカニズムの解説(パニック症の悪循環図など)- 情報提供(Psychoeducation)
仮説検証の原則(ケースフォーミュレーション) 見立ては仮説とし、日常生活や課題で検証・修正 - ケースフォーミュレーション作成- 行動実験(Behavioral Experiments)- 思考記録法(Thought Records)
エビデンスベースの実践 科学的に有効性が示された方法を優先的に採用 - エクスポージャー療法(曝露療法)- 認知再構成法(Cognitive Restructuring)- マインドフルネス認知療法(MBCT)
現実へのチャレンジ 困難に直面し、計画的に回避行動を減らす - 段階的曝露(Graduated Exposure)- 行動活性化計画- 恐怖階層表の作成と実施