ーーーー講義録始めーーーー
1. 専門家の取り組み
蒲生裕司先生(医療法人社団大樹会 心のホスピタル町田、北里大学病院勤務経験)は、ギャンブル依存症治療に長年携わる精神科医です。臨床現場では、患者との対話を通じて、認知行動療法(CBT)を基盤とした具体的な治療方針を展開しています。
2. 患者との対話から学ぶこと
患者の語りから明らかになる動機:
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「仕事で一生懸命頑張れる人になりたい」
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回復施設に通った経験はあるが、仕事との両立に困難
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娘に回復した姿を見せたいという強い動機
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自ら設定した目標を大切にする取り組み
3. セルフモニタリングの重要性
治療において、**セルフモニタリング(日々の行動・気分・状況の記録)**は重要な役割を果たします。
従来の課題
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「ギャンブルをした日の分析」に偏重
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問題行動そのものへの注目が中心
効果的なアプローチ
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「ギャンブルをしなかった日」の要因分析
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「しそうだったが踏みとどまった日」の検討
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24時間の中でのポジティブ活動の発見
4. 治療者の姿勢
対話的アプローチ
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治療者が一方的に指導するのではなく、患者と共に工夫やアイデアを考える
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ユーモアを交えた明るい雰囲気の中で進める
協働的関係
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患者の体験や工夫を尊重
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実践可能な方法を一緒に模索する
5. リスク管理と代替行動
リスク状況の特定
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ギャンブル欲求を高める状況の明確化
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危険な状況と安全な状況の区別
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個人の生活パターンに応じたリスク評価
代替行動の開発
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ギャンブルに代わる満足感を得られる活動(趣味、運動、社会活動)
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現実的で継続可能な方法を提案
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患者の興味や能力に即した選択肢を設定
6. 治療の全体像
ギャンブル依存症治療は、**認知行動療法(セルフモニタリング・リスク管理・代替行動訓練)**を中心に、動機づけ面接、自助グループ(GA)、家族支援を組み合わせて行われます。これにより、患者は「再発防止」と「生活の再構築」を目指すことができます。
