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岡村理論にみる地域福祉の理論的基盤 #放送大学講義録(地域福祉の課題と展望第1回)

ーーーー講義録始めーーーー

 

地域福祉の理論研究は1960年代に芽生え、1970年代に本格的に展開していきました。その中心に位置づけられるのが、岡村重夫による地域福祉論です。


岡村理論の基本的視点

岡村の地域福祉論は、地域社会や家族から切り離され、施設中心に提供される従来の社会福祉への批判から始まりました。
当時の社会福祉援助には「劣等処遇の原則(principle of less eligibility)」があり、福祉サービス利用者の生活水準は一般の勤労者の平均的生活水準よりも低く設定されなければならないとされていました。
岡村は、この原則の下では利用者が普通の近隣関係を築けず、人間的欲求が満たされないと強く批判しました。


地域福祉を構成する三つの要素

岡村は地域福祉を構成する三つの要素として、以下を挙げました。

  1. コミュニティケア
    支援を必要とする人々が地域で暮らしながら、施設で得られるのと同等のサービスを享受し、地域住民として対等に生活できるようにする「処遇公正の原則」の実現を目指す。

  2. 地域組織化・福祉組織化
    コミュニティケアを可能にするために、住民相互の連帯や地域ネットワークの形成を促し、福祉活動を組織化して新たな地域社会の構造を築く。

  3. 予防的社会福祉
    地域の中で人々が社会関係を維持し合うことで、生活困難の発生を未然に防ぐことを重視する。


岡村理論の意義

岡村理論は、従来の縦割り的な社会福祉制度(児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉、生活保護など)が個別に運営されていた状況を批判し、それらを横断的に統合する視点を提示しました。
彼は「地域福祉とは地域社会における福祉、すなわち地域社会が築き、地域社会が支える福祉である」と定義し、地域社会の存在とその福祉機能の重要性を強調しました。