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産業・組織心理学の4つの研究領域(前半) #放送大学講義録(産業・組織心理学第1回その6)

ーーーー講義録始めーーーー

 

産業・組織心理学の定義と特徴
産業・組織心理学は、働く人間の心理や行動を明らかにすることを基盤にして、より生産的で効率的、かつ安全で健全な産業活動や組織活動の実現に寄与する学問です。

産業活動は個人で行う場合もありますが、集団で行うことが多く、役割分担やコミュニケーションを通じて組織的に進められます。そのため、個人の心理や行動特性に加え、組織全体や集団に特有の行動や現象を明らかにすることも重要な目的となります。

現在、産業・組織心理学は大きく4つの研究領域に整理されています。すなわち、組織行動・人的資源管理・安全衛生・消費者行動です。


第1領域:組織行動(Organizational Behavior)
組織行動とは、組織の中の人間行動を意味する専門用語であり、組織に所属する人々の行動特性やその背後にある心理、あるいは人々が集団としてまとまる際の特性を明らかにする学問領域です。

研究テーマは幅広く、パーソナリティや個人差、集団意思決定、職場の人間関係、葛藤調整、対人コミュニケーション、組織適応、ストレス、チームワーク、リーダーシップ、組織文化など多岐にわたります。

組織行動の研究は基礎的かつ理論的であり、行動科学・心理学の手法を用いて組織内での個人や集団の心理・行動特性を解明します。これらの知見は、次に述べる人的資源管理や安全衛生の研究を支える基盤を形成しています。


第2領域:人的資源管理(Human Resource Management: HRM)
人的資源とは、経営資源「人・物・金・情報」のうち「人」を指し、組織の経営目標を達成するために制度設計や運用を通じて有効活用される対象です。

この分野は歴史的には「労務管理(Labor Management)」や「人事管理(Personnel Management)」と呼ばれてきましたが、現在では「人的資源管理(HRM)」として体系化されています。

研究対象は、募集・採用から昇進・退職までの一連の人事活動全般です。具体的には、適性評価や面接評価、人材配置や異動、キャリアデザインとキャリア開発、教育研修の企画・実施、人事考課と昇進・昇給・処遇、労働時間管理、退職制度設計などが含まれます。

人的資源管理は、人材の有効活用を通じて生産性を高め、組織の成果に結びつけることを目的とする分野です。この領域でも、働く人間の心理や行動を理解することが不可欠であり、組織行動研究と密接に関連しています。

 

領域 定義・対象 主な研究テーマ 特徴・役割
組織行動 (Organizational Behavior) 組織内の個人や集団の心理・行動を明らかにする領域 パーソナリティ、個人差、集団意思決定、職場人間関係、葛藤調整、対人コミュニケーション、組織適応、ストレス、チームワーク、リーダーシップ、組織文化など 基礎的・理論的研究が中心。他の領域(HRM・安全衛生など)の基盤を支える
人的資源管理 (Human Resource Management: HRM) 経営資源の「人」に着目し、制度設計・運用を通じて人材を有効活用する領域 募集・採用、適性評価、面接評価、人材配置・異動、キャリアデザイン、キャリア開発、教育研修、人事考課、昇進・昇給、労働時間管理、退職制度など 実務的・応用的研究が中心。組織行動の知見を応用し、組織成果を高めることを目的とする