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ジャービスの学習的反応の分類と省察の重要性 #放送大学講義録 (成人の発達と学習第6回その7)

ーーーー講義録始めーーーー

 

さて、別の経験学習のモデルを紹介しましょう。イギリスの成人教育の研究者であるジャービス(Jarvis)は、すべての学習が経験から始まり、「学習とは経験を知識、スキルや態度へと変容させること」と考え、経験に対する学習的反応を分類しています。

印刷教材の表「学習的反応の分類」を見てください。ジャービスの分類では、1つの経験は9つの反応――つまり、推測、非考慮、拒否、前意識的学習、スキル学習、記憶、熟考、省察的実践、実験的学習――からなります。これらの反応の中には学習の結果であるものもあれば、学習の結果ではないものもあります。

例えば、この9つの反応は、非学習、非省察的学習、省察的学習の3つのカテゴリーに分類されます。

最初の「非学習」は、既に知っていると仮定する推測、学習する機会を検討しようとしない非考慮、状況からの学習機会の完全な拒絶である拒否からなります。いずれも学習を表すものではありません。

次のカテゴリーである「非省察的学習」は、前意識的学習、スキル学習、記憶からなります。前意識的学習は、本人の強い意図や省察を伴わずに生じる学習、スキル学習は練習や模倣などを通して技能を身につける学習、記憶は与えられた情報などをそのまま覚える学習を指し、いずれも省察は伴わないものの、一般に「学習」と見なされやすいものです。

そして最後のカテゴリーである「省察的学習」には3つあります。1つ目は、経験についてよく考え、意味づけや価値づけを行い、自らの理解や態度を受け入れ変化させていく熟考です。2つ目は、得られた理解をもとに実際の行動や実践を省察しながら改善していく省察的実践であり、確認やイノベーションを起こすために行動するプロセスといえます。3つ目は、新しい試みややり方を実際に試し、その結果を通して状況やこれまでの経験を肯定もしくは否定しながら学ぶ実験的学習です。

この分類では、非学習、非省察的学習よりも、省察を伴う省察的学習が高次のものとされています。経験学習においては、この「省察」という言葉がキーワードのように思いますが、いかがでしょう。

改めて重要なキーワードだと思います。というのも、経験学習といった場合、人は皆生きていれば24時間の中で常に何かの経験をするわけですから、何でも経験学習の材料になるということになります。

そうですね。

その中でも特に何かを学習の材料として選び出し、そこから何かを引き出すことによって経験学習となります。そのプロセスの中心にあるのが「省察」――つまり振り返りと考察――なのだと思います。ただ経験するだけではなく、その経験を振り返り、意味を見出し、概念化していくことで、初めて学習として機能するわけです。

まとめ
本講義では、経験を人生の資本として捉える「経験資本」の概念を中心に、文化資本との違い、経験の種類とその影響、キャリアとの関係、そしてコルブやジャービスの経験学習モデルについて検討しました。経験は後天的に獲得可能であり、省察を通じて学習資源となることが、成人学習において極めて重要であることが理解できたと思います。