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平塚市博物館の先駆的実践 ―地域博物館のモデル― #放送大学講義録(博物館教育論第13回その2)

ーーーー講義録始めーーーー

 

平塚市博物館の濱口哲一元館長は、著書『放課後博物館へようこそ―地域と市民を結ぶ博物館』の中で、地域博物館定着についての道のりを語っています。
地域博物館の特色は、地域性、総合性(分野横断/学際性)、テーマ性であり、「平塚なら平塚に住んだり、仕事をしている人が利用し、しかもその地域のことを扱っている博物館である」という方向性で語られてきました。
また、(地域博物館論を理論化した)伊藤寿朗は、博物館を地域志向型博物館、中央志向型博物館、観光志向型博物館の3つに区分し、地域課題を軸に市民とともに応えていく博物館像を示しました。
一方で濱口は、博物館の利用のされ方という観点から、日常的に利用される「放課後博物館」と、非日常的に訪れる「遠足博物館」という二つのタイプに分けて捉えています。

平塚市博物館のテーマは「相模川流域の自然と文化」であり、設置条例(1976年3月26日制定)においても相模川流域を対象とすることが示されています。
博物館の設置の段階で、活動の対象となるフィールド(相模川流域)を明確に掲げたことについて、伊藤は平塚市博物館の「活動のフィールドを明記した条例づくり」を、第三世代の博物館像に関わる試みの一つとして挙げています。

平塚市博物館のテーマ設定には、博物館が扱う地域的な範囲を明確にすることで、各分野の調査研究に共通のフィールドを作り、情報交換や共同調査の基盤を用意したということや、「相模川流域」という設定の仕方には、現在の行政区画の枠の中だけで発達してきているものとして捉えるのではなく、周辺部も含めて広い視野で地域を把握しようとする考え方があったといいます。
このようにして、平塚市博物館は地域博物館の先駆的なモデルの一つとして位置づけられてきました。

 

図:地域博物館(平塚モデル)を支える3要素

 

[地域設定]  行政区画に限定されない(相模川流域をフィールド化)
      │
      ├─→ [総合性(分野横断)]  自然+文化を総合的に扱う
      │
      └─→ [テーマ性]  「相模川流域の自然と文化」を軸に活動・展示・普及を編成