ーーーー講義録始めーーーー
収集品の活用とタバコ展覧会
タバコ展覧会の開催
また、図2-4は、この特別展の「収集品の活用」コーナーに展示した写真資料の一つです。このコーナーでは、各地の百貨店などで開催されたタバコに関する展覧会「たばこ展覧会(1932年当時は『タバコに関する展覧会』)」を紹介しました。
図2-4は、1932年に名古屋で開催された、タバコに関する展覧会の様子を伝える写真の中の1枚です。 この展覧会は、名古屋地方専売局の後援のもと、名古屋地方専売局管内のたばこ小売人組合連合会が、たばこの売り上げ増進を目的として開催しました。
この写真は、1932年発行の『タバコに関する展覧会記念写真帖』に掲載されたうちの1枚で、当時はタバコ展覧会の記録としてこのような記念写真帖が制作されました。 これは、たばこの製造実演を観客が見ているところを撮影した写真です。 「実業と美術―コレクションの軌跡―」展は、当館のコレクションの範囲の広さを披露した特別展でもありました。
名古屋での展覧会の成功を受け、翌年には大阪と東京でも同様の展覧会が開催され、その後、全国各地に広がっていったことが知られています。
こうした展覧会では、専売局の事業や製品の紹介に加えて、専売局が収集した美術品や歴史資料が展示されました。また、開催地の名士などが所蔵するたばこ資料・美術品が出品されることもあり、それらのうちのいくつかは、展覧会終了後に専売局が購入したり、譲り受けたりしたとされています。 つまり、展覧会は収集品の活用であると同時に、資料収集の機会でもあったわけです。
なお、当館のコレクションは、購入だけでなく寄贈によっても充実してきた経緯があり、来館者とのやり取りや情報提供をきっかけに寄贈へとつながった事例も紹介されています。
特別展の評価
特別展「実業と美術―コレクションの軌跡―」を拝見して、昭和初期にタバコに関する展覧会が各地で盛況であったことや、こうした展覧会が実業界との協同のもとで収集品を活用しつつ、コレクション形成と鑑賞の機会の双方に関わる装置、つまり仕掛けとして機能していたことを興味深く拝見しました。
さらに、当館のコレクションは美術品にとどまらず、経済・産業史や消費文化などに関する多様な資料を含み、広範囲にわたることを実感した次第です。
この特別展は、初めて来館された方にタバコと塩の博物館のコレクションを紹介する機会になったとともに、リピーターからは、「渋谷区から移転して2015年4月に現在の墨田区でリニューアルオープンした後、久々に浮世絵や絵画などのコレクションを見た」といった声を聞かれ、アンケートの結果も概ね好評でした。
