ーーーー講義録始めーーーー
古物営業法の基本的な仕組み:定義と規制対象
さて、では印刷教材の2「古物営業法の概要」のところになりますね。ここでは法律の条文の仕組みなどを簡単に説明していきたいと思います。
目的は単純でして、盗品「等」の売買の防止や、その速やかな発見などを図るために、古物営業に必要な規制を行い、結果として窃盗その他の犯罪の防止と、その被害の迅速な回復に資する、というところにあります。ですので、「盗品を取り締まるための法律」という言い方でも方向性は近いのですが、条文上はもう少し広い目的が書かれている、ということになりますね。
行政法に属する様々な法律があるのですけれども、古物営業法は、古物営業という事業活動に対して許可等を通じて規制をかける、いわゆる個別行政法規の一つである、という理解になりますね。
比較的簡単な法律かもしれません。仕組みですが、条文を追っていくと、定義規定が置かれていて、古物営業とは何か、古物とは何か、そして営業を行う場合に必要なルールが定められている、という構造です。難しい言葉が全く出てこない、というわけではないのですが、定義と規制対象を丁寧に押さえていけば、条文の読み方としては取り組みやすい部類に入ると思いますね。ですので、ここで初めに紹介するのにちょうどいいかなと思います。
今回、この授業で、古物営業法に限らずいろんな法律が出てくるのですけれども、そこでのポイント、理解する際のポイントというのは次の3点です。
一体どういう活動を規制するのか(規制対象、規律対象と呼ばれることもありますが、人々のどういった活動、経済活動が多いんですけれども、人々のどういう活動を制約しているのか)
その際の理由は何か(どういった目的、どういった理由で自由を制限する必要があるのか)
どのような手段か(どのような方法で、例えばその目的を達成しているのか)
第2章、印刷教材の第2章以降でも様々な法律が登場しますけれども、この3つのポイントを押さえて理解するよう努めれば難しくないと思います。
1点目、どういった活動を規律するのかということですけれども、古物営業法は当然、古物「営業」を規制するということですね。当たり前なんですけれども、覚えておかないといけないのは、「古物」というものですね。古物というのは、常識的な一般的な意味での古物ももちろんあると思いますけれども、法律上は正確な定義に基づいて、その古物がどういったものなのかが限定されているということですね。
条文を確認します。これは古物営業法第2条第1項に出てくるのですけれども、要旨としては、①一度使用された物品、②使用されない物品で使用のために取引されたもの、③これらの物品に幾分の手入れをしたもの、といったものが「古物」になります。ただ、条文上は、証票類などの扱いや、大型機械類のうち政令で定めるものの除外なども含めて定義されているので、必要に応じて条文全体を見て確認するのが大事です。
じゃあ次に、古物について営業するというのは、今度は第2条第2項の話になりまして、ここで「古物営業」とは何かが定義されています。具体的には、古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業(いわゆる古物商に当たる類型)や、古物市場を経営する営業、さらに古物競りあっせん業(いわゆるインターネットオークション事業者などが典型です)といった形で、条文上、いくつかの類型に分けて整理されています。
典型的には、不特定多数の人から不要になった物品を買い取って、それを店舗で販売する、あるいはインターネット上の店舗で販売する、といった活動がここに含まれますよね。
これは問題なく理解できると思われますが、ポイントとしては、一般的な意味ではなくて法律上厳密に定義されている場合が多いんですね。ですので、どういった定義になっているのかというのを法律の条文を見て確認するのが大事なことになっています。
例えば、古物ということですね。買って使った物ということになりますけれども、買ったけど使っていない、そういうほぼ新品同様の中古品というのはありますけれども、それも「使用されない物品で使用のために取引されたもの」という定義の考え方に当たり得ます。つまり、一般消費者が自分で使う目的で購入等したものが、未使用のまま売却されるような場合でも、法律上は古物として扱われる、という整理になりますね。
こういうふうに、一般の言葉の意味とはちょっと違うなということを押さえておいてほしいと思います。
これから、この後説明するように、このような古物営業を行う者は、この古物営業法で定める様々なルールに従わないといけないわけですね。もともと、皆さん憲法第22条、職業選択の自由というのがあるわけですけれども、職業選択の自由には、選択した職業を遂行する自由、いわゆる営業の自由も含まれる、という理解が一般にされています。とはいえ、公共の福祉との関係で、特別な必要性に基づいて制限が及ぶ場合も多いわけですけれども、この古物営業もその例に当たるということになります。
図表(条文構造の見取り図:定義→規制対象)
| 押さえる場所 | 何が書かれているか | 講義での着眼点 |
|---|---|---|
| 1条(目的) | 盗品等の売買防止・速やかな発見等/犯罪防止/被害回復 | 規制目的(なぜ自由を制限するか) |
| 2条1項(古物) | 「古物」の法律上の定義(包含・除外あり) | 規制対象の外延(何が“古物”か) |
| 2条2項(古物営業) | 古物商・古物市場主・古物競りあっせん業等の類型 | 規律対象の切り分け(誰のどんな営業か) |
| 憲法22条(背景) | 職業選択の自由(営業の自由を含む理解) | 規制の限界(公共の福祉との調整) |
