ーーーー講義録始めーーーー
許可後の規制と本人確認義務
さて、次は古物営業法の、許可を受けた後のルールの話になりますけれども、許可で終わりかというと、そういうわけではないんですね。古物商が許可を得て営業を開始した後にもいろんなルールがあって、それを守らないといけないということになります。
古物営業法には、古物商が守るべきルールがいろいろ置かれていて、さらに、守らなかった場合にどうなるのか、どういう制裁、ペナルティがあり得るのか、という点も用意されています。大きく分けると、公安委員会による指示や営業停止命令、許可の取消しといった行政処分の仕組みがあり、そして、違反行為に対して**罰則(刑罰)**が科され得る、という形になっています。
ですので、許可を受けたら終わりというわけじゃなくて、許可を受けた後にいろんなルールがありますので、それをちゃんと守っていかないといけないということですね。もしそういったルール、制限に違反した場合、営業停止、許可の取り消しといった、さらに厳しい処分を受ける可能性もありますし、違反内容によっては罰則の対象にもなり得る、ということになりますね。
これはまた、行政庁の役割としては、そういったルールがきちんと遵守されるよう、立入りや調査、指示、処分といった手段を通じて監督していく、という仕組みが置かれている、というふうに理解してください。 こういった行政の仕組みなんかも、印刷教材の第2章や第9章なんかでまた学んでいきたいと思います。
じゃあ、新聞記事に戻りたいと思いますけれども、これは何だったのかと改めて確認すると、貴金属を買い取る際に氏名などを確認しなかった、そういった疑いがあるんだということになっています。これが、古物営業法上の義務に違反になるのではないかということですね。
古物営業法では、許可を受けて営業する古物商には、いくつかの典型的な遵守事項があり、その中に、取引の相手方について確認を求める規定があります。条文を見てほしいんですけれども、古物を「買い受け」たり「交換」したり、あるいは「売却若しくは交換の委託」を受けたりする場面で、相手方が本当にその人なのか、なりすましではないのか、という点を確認するための措置をとる、という仕組みです。
具体的には、第15条1項の類型として、相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認する、といった形で整理されていますね。 通常、運転免許証などの本人確認書類の提示を受けて確認する、という形がイメージしやすいと思いますし、対面ではそうした運用が一般的に行われています。
そう難しい話ではないし、常識的にそうだよねって皆さん思うと思いますよね。つまり、皆さんの中にも、漫画本とか、ゲームソフトとか、いろんな物品を買い取ってもらう際、本人確認書類の提示を求められたことがあると思いますね。本人確認を求められて、はい、私は怪しいものではないですよということを示す、というのは、常識的に考えても理解しやすいところかなと思いますよね。
誰だかわからない人から物を買い取ることにはリスクがあります。盗品等である可能性も出てきますので、相手方を確認するのは、常識的にも必要性があると皆さん思うと思います。
ポイントになるのは、これは道徳的な、倫理的な責務としてやっているのではなくて、古物営業法に基づく法的な義務として実施されているんだ、それをちゃんと実施しない場合は、行政処分や罰則の対象にもなり得る、ということになりますね。
これが基本的な身分確認の仕組みなんですけれども、印刷教材の14ページのところには少し細かい点がありますが、それについて説明されていますね。実際、いろんな物について1点1点確認するのは負担が大きいという事情もあるので、取引の金額や物品の種類によっては、一定の場合に確認等が「原則免除」される整理が置かれています。たとえば、総額が1万円未満の買受け等の場合には、相手方確認等が原則として免除される、という説明がされています。
ただ、ここで重要なのが、いわゆる「例外の例外」と言いたくなる部分でして、1万円未満であっても、盗難や万引きなどで流通しやすい物品については、金額にかかわらず相手方の確認等が必要とされる扱いが示されています。書籍、CD・DVD等、ゲームソフト、二輪車等については、1万円未満でも対象になる、という整理で理解しておくとよいでしょう。
なお、この「1万円未満でも対象となる物品」の範囲については、施行規則の改正で追加が行われることがあり、たとえば2025年10月1日施行の改正では、対象物品が追加されています。講義では、条文と公的な解説資料で、最新の整理を確認する癖をつけてほしいと思います。
原則があって、また例外があって、さらに例外がある、ということですね。法律の規定を見ると細かいことも多いので、なかなか難しいのですが、今回はまず理解することから始めてほしいと思います。
記事にまた戻りますけれども、結局は、この記事の容疑者は、貴金属を買い取る際に運転免許証などで身分を確認しなかった、そして第15条1項違反の疑いがかけられている、ということになりますね。ではどうなるのかというと、古物営業法の罰則の整理では、第15条1項違反は、第33条により、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象となり得る、ということになります。
ポイントは、逮捕された段階では、犯罪を犯した疑いということですね。無罪の推定の原則がありますから、本当に経営者が本当に違反したのかどうかまだわからないですね。これからどうなるのかというと、捜査が行われ、起訴するかどうかが判断され、起訴されれば裁判にかけられる、ということになります。そして最終的に裁判所が有罪か無罪かを判断する。裁判所が有罪であるというふうに判断すると、それで刑事責任が確定してくる、ということを覚えておいてほしいと思います。
これまでの説明からわかってもらえたと思うんですが、古物営業法のもとでは、買取等の場面で相手方の確認が求められる場合に、それをしないことは違法と評価され得る、ということですね。もちろん、取引の金額や物品の種類、取引形態によって、確認等が原則免除される場合や、逆に1万円未満でも対象となる場合など、細かい整理があります。さらに、インターネット等の非対面取引の場合には、単に身分証の写しを送ってもらうだけでは足りない、といった点も公的に注意喚起されていますので、このあたりは実務上も重要です。
皆さんの中で、リサイクルショップとか古書店でアルバイトをする人もいるかもしれませんが、アルバイトであっても、業務として古物の買受け等に関与する以上、こういった法的なルールのもとで動いている、という点を意識して、十分気をつけてほしいと思います。
