ーーーー講義録始めーーーー
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第3回 女性雇用者の特徴②:M字カーブと家族関係の影響
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◆ M字カーブとは
それでは、印刷教材の図「女性の年齢階級別労働力率」をご覧ください。この図が示すように、修学後に就職した女性について、年齢階級別に見ると、出産・育児期と重なりやすい時期に労働力率が相対的に低下し、その後、年齢が上がるにつれて再び上昇するような形状が観察されてきました。もっとも、この形状は時代とともに変化しており、近年は全体として台形に近づきつつある、という整理もなされています。
この折れ線グラフの形状はアルファベットの大文字「M」に似ていますので、女性労働力率のM字カーブと呼ばれています。
【図1】女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)イメージ
┌──────────────┬──────────────┬──────────────────────┐
│ 年齢階級 │ 労働力率の動き │ グラフ形状 │
├──────────────┼──────────────┼──────────────────────┤
│ 20代 │ 高水準 │ M字の左の峰(第一山)│
│ 30代 │ 相対的に低下 │ M字の谷 │
│ 40代 │ 再上昇 │ M字の右の峰(第二山)│
│ 50代〜 │ 低下 │ 右下がり │
└──────────────┴──────────────┴──────────────────────┘
※印刷教材の2009年と2019年の比較では、2019年のM字の谷は相対的に浅くなっていることが読み取れます。
この変化の背景については、晩婚化・未婚化、出産行動の変化、就業継続や両立支援、働き方や雇用環境の変化など、複数の要因から説明されます。
◆ M字カーブの変化
過去に遡ると、M字の谷は相当深かったのですが、だんだんと浅くなってきました。その背景としては、晩婚化・未婚化、少子化といった人口動態や家族形成の変化が要因の一つとして挙げられることがありますが、それだけで説明できるものではありません。近年の変化を配偶関係別に見た分析では、特定の年齢階級において、有配偶者の労働力率の上昇が全体の上昇に寄与していることが確認できる、といった指摘もあります。 印刷教材では2009年と2019年を比較していますが、2019年のM字の谷は相対的に浅くなっています。
◆ 配偶関係と労働力率
女性労働者の場合、家族関係が労働市場への参入・退出に顕著な影響を与えていると推測されます。印刷教材に「女性の配偶関係・年齢階級別労働力率」を示した図がありますのでご参照ください。
【図2】配偶関係・年齢階級別 女性労働力率の概要(2009年・2019年比較)
┌────────────────────┬────────────────┬────────────┬──
│ 配偶関係 │30代までの傾向 │全体水準 │2009→2019の変化 ├────────────────────┼────────────────┼────────────┼───
│配偶者あり │相対的に低い │低め │上昇(社会変化を反映)│
│配偶者なし │高い労働力率を │高め │ほぼ維持 │
│(未婚・離別・死別)│維持 │ │ │
└────────────────────┴────────────────┴────────────┴────
配偶者がいる人の労働力率は、年齢階級別に見ると相対的に低くなる傾向が見られます。興味深い点は、有配偶者の労働力率が2009年から2019年にかけて上昇していることです。社会の変化がデータからも感じられます。女性が仕事を続ける環境が整備されてきたことや、働き方や雇用環境の変化などが要因として考えられます。
