ーーーー講義録始めーーーー
人事考課制度とは何か――定義と基本的な仕組み
テーマは人事考課制度です。
人事考課制度とは、定期的に企業が従業員の働きぶりや能力、成果などを評価する制度です。学校で言えば成績表をつけるようなものにやや似ています。
その結果に基づいて、従業員の昇給、賞与、昇進・昇格、配置・異動等の処遇や人事運用を決定するとともに、その働きぶりの改善や能力開発を通じて、人材育成や企業の業績向上に結び付けていこうとするものです。
日本では、1970年代から1980年代にかけて、能力主義のもとで職能資格制度が普及し、それと結び付いた人事考課制度が広く定着していきました。しばらくその時代が続いたのですが、その後、成果主義を背景とする人事・賃金制度改革のなかで、1990年代後半以降、2000年代にかけて、大企業を中心として、職務等級制度あるいは役割等級制度など、職能資格制度とは異なる基準に基づく制度を導入する企業が増加しました。今回は、そうした変化の意味について考えていきたいと思います。
では、まず人事考課制度の定義をお話ししたいと思います。
企業のような組織で働いていると、日常的に様々な評価をされているということがわかります。しかし、人事考課はそれらの評価の中でも特に重要です。人事考課制度を定義するならば、「企業組織全体の業績向上を目的として、それに対する従業員個々の現在の働きぶり、能力、成果、さらには将来の貢献可能性を、公式化された合理的で公正な基準・方法によって定期的に評価し、その結果に基づいて、従業員の処遇の決定をはじめ、選抜・配置・移動・能力開発などの決定に役立てるための制度」ということが言えるでしょう。
今の定義からわかるように、人事考課の結果に基づいて、従業員の昇給・賞与・昇進・昇格等が決まります。ですので、人事考課制度というのは公正でなければいけません。だから、評価基準が明確で、合理的で、被評価者に対して説明可能な仕組みであることが要求されるということになります。
また、人事考課を行うことによって、最終的には従業員の働きぶりをより良いものにして、組織の目的の達成に結び付けていくことが必要になります。そうであるならば、もちろん丁寧な人事考課をすることが必要ですし、それをしっかりとフィードバックしていかなければいけません。それによって、会社が期待する役割や行動の理解が進み、行動変容や能力開発にもつながっていくからです。
ですが、これはもちろん簡単なことではありません。詳しくは後ほど見ていきたいと思います。

